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ドル建て保険は資産運用に役立つ?メリットとデメリットを分かりやすく解説

2024年5月2日 木曜日

日本は「保険加入率」がとても高い国として知られており、生命保険(個人年金も含む)の世帯加入率は実に89.8%にものぼると言われています。

きっと、多くの方が「万が一怪我や病気になってしまった際の備え」という認識で加入しているであろう保険ですが、世の中には「備え」というよりも「投資的な側面が強い保険商品」も存在します。
その代表例が「ドル建て保険」です。

今回の記事では、分散投資にも役立つ「ドル建て保険」について、メリット・デメリットを分かりやすく解説していきます。

ドル建て保険とは

ドル建て保険とは、保険料の支払いから保険金・年金・解約払戻金の受け取りや運用まで、そのすべてを米ドルで行う外貨建て保険のことです。
他にも豪ドルやNZドルで運用する外貨建て保険が人気ですが、為替手数料が比較的安いことやカントリーリスクが低いこと、現在では米ドルの金利のほうが高いことなどを受け、ドル建て保険に人気が集まっています。

保険料の支払い方法は、

  • 一時払い:全保険期間分の保険料を一括で支払う方法
  • 平準払い:全保険期間中の払込保険料が一定な支払い方法で、月払い・半年払い・年払いなどから選ぶことができる

の2種類に分かれます。

一時払いは加入時にまとまった資金が必要になりますが、円高時に支払いを済ませておけば、少ない円で保険料を支払うことができます。
平準払いは、支払いタイミングの為替相場によって保険料が変動するため、最終的な保険料の総額が想定よりも高くなったり低くなったりしますが、一時払いのようにまとまった金額を用意しておく必要がありません。

なお、平準払いはさらに2パターンの支払い方法に分かれ、保険商品によって、

  • 「ドル建て」で保険料が決まる支払い方法
  • 「円建て」で保険料が決まる支払い方法

のどちらかとなります。

ドル建て保険のメリット

ドル建て保険には、以下のメリットが考えられます。

  • 円建て保険に比べて予定利率が高く、保険料が割安
  • 為替相場によっては為替差益を期待できる
  • 保有通貨を分散させることで資産のバランスが取れる
  • 万が一の際の保険になる
  • 円建て保険と同じように控除を受けられる

円建て保険に比べて予定利率が高く、保険料が割安

「予定利率」とは、保険会社が契約者から集めた保険料を運用するにあたって約束する利率のことで、保険の契約時に決められます。
「予定利率が高い=高い運用収益が期待できる」となるため、予定利率が高いほど保険料は安く設定されることとなります。

契約者から集めた保険料は、株式や債券、不動産などで運用されますが、とりわけ多いのが「国債」での運用です。
アメリカの国債利回りは日本のそれよりも高い傾向にあるため、保険商品の予定利率も高く設定されやすく、そのぶん保険料を割安に済ませることができるというわけです。

為替相場によっては為替差益を期待できる

ドル建て保険をはじめとする外貨建て保険は、常に為替相場の影響を受けることとなります。

保険料を支払った時よりも、保険金や年金、解約払戻金などを受け取る時のほうが円安であれば、より多くの円を受け取る(為替差益が得られる)ことができます。

保有通貨を分散させることで資産のバランスが取れる

保有通貨が日本円のみであれば、円安時に資産が目減りしてしまいます。
こうしたリスクの低減にも、ドル建て保険が役立ちます。

ドル建て保険に加入し、間接的にドルを保有しておけば、円安時にも慌てることがありません。
むしろ、満期時に円安であればあるほど受け取れる保険金が増えるため、為替差益によって資産を増やすことが期待できます。

万が一の際の保険になる

投資目的で加入する人も多いドル建て保険ですが、そもそもは「保険」商品なので、一般的な保険としての役目も当然有しています。
怪我や病気、死亡の際には、契約内容に応じて保険金が支払われますので、万が一の際の備えとしても役立ちます。

円建て保険と同じように控除を受けられる

日本には、条件を満たす生命保険・介護医療保険・個人年金の保険料を支払った場合に、一定金額の所得控除を受けられる制度(=生命保険料控除)があります。
ドル建て保険をはじめとする外貨建て保険も、この生命保険料控除の対象となります。

なお、一時払いの場合は、保険料を一括支払いする初年度にしか生命保険料控除を受けられませんので注意が必要です。

ドル建て保険のデメリット

一方、ドル建て保険には以下のようなデメリットも考えられます。

  • 支払い時や受け取り時に為替手数料が発生する
  • 円換算時の元本保証がない
  • 為替相場によっては為替差損が生じることも
  • 毎月支払う保険料が一定ではない

支払い時や受け取り時に為替手数料が発生する

外貨を扱うにあたっては為替手数料の存在が避けられません。

多くの銀行では、通常「1ドルあたり1円」の為替手数料が発生します。
この手数料は支払い時や受け取り時など、円とドルを両替するたびに発生します。
ドル建て保険に加入する際は「為替手数料を支払ったとしてもプラスになるかどうか」を考慮したうえで検討するようにしましょう。

円換算時の元本保証がない

貯蓄型保険の多くは、満期となった場合の元本を保証しています。
ドル建て保険も同様で、満期時には元本保証がなされていますが、それはあくまで「ドル」での話。
「円」での元本保証はなされていませんので、保険金などを受け取る際の為替レートによっては元本割れする可能性もあります。

為替相場によっては為替差損が生じることも

ドル建て保険に限らず、外貨を扱うにおいて必ず発生するのが「為替相場による為替差損益」です。
為替相場によっては利益を得ることができますが、損失を被る可能性ももちろんあります。
外貨建て保険が満期になったタイミングで円高になっていると、大損を被ってしまう恐れもあります。

そんな時は、外貨の状態で保険金を受け取っておき、円安に転じたタイミングを見計らって円に両替することをおすすめします。
保険商品に「据え置き機能(※)」がついている場合はさらにお得で、円への両替時の為替手数料を安く済ませることができますよ。
※:満期後、保険金(外貨)を運用しないままの状態で保険会社に預けておき、任意のタイミングで日本円に両替して受け取れるシステムのこと。据え置きしておいた保険金の両替には、一般的なものよりも安い「生命保険の為替手数料」が適用される。

毎月支払う保険料が一定ではない

保険料がドル建ての場合、毎月の保険料が為替相場に応じて変動するというデメリットもあります。
円安時には保険料が高額になるため、家計への負担が予想より重くなることも考えられます。

ただし、

  • 一時払いを活用し、最初にすべての保険料を支払っておく
  • 保険料を円建てにし、後々保険金を調整する形にする

などの手段を選ぶことによって、このデメリットを打ち消すことも可能です。

まとめ

円建ての保険商品とは異なり、為替相場や世界経済も考慮しなくてはならない「ドル建て保険」ですが、予定利率の高さや保険料の安さといった大きな魅力を持つ商品です。
投資を目的とした保険商品でありながら、怪我や病気の際には加入条件に応じて保険金を受け取れるという安心感もあります。

また、分散投資の面からも有効な手段と言えますので、日本円でしか資産をお持ちでない方は、新たな投資先としてドル建て保険を検討してみてはいかがでしょうか。