人生100年時代が現実味を帯び、一人ひとりが資産形成することの意義が叫ばれるようになった昨今。
投資に関するCMを見かける機会も増えましたが、そんな風潮を反映するようにして投資詐欺も増加しています。
警察庁が発表している『令和3年における 生活経済事犯の検挙状況等について』によると、令和3年の投資詐欺(利殖勧誘事犯)の検挙事件数は過去最高の46件を記録。
前年の1.2倍近い数となり、投資詐欺に関する相談件数も1,806件から3,109件へと170%超の増加となっています。
投資詐欺に引っかからないためには、投資詐欺の手法や特徴を知ることが有効です。
この記事では、投資詐欺の中でも特によく見かける「ポンジスキーム」について解説します。
ポンジスキームとは投資詐欺の一種で、「高額な配当金を謳って出資を集めるが、実際には運用せず、新しい出資者からの出資金を配当金に充てる」という、いずれ破綻することを前提とした詐欺手法です。
最初からポンジスキームのつもりで儲け話を持ちかける場合が多いですが、当初は健全に運用していたものの徐々に資金繰りに苦労し、出資金を配当金に回すようになって、結果的にポンジスキームと化してしまうこともあります。
ポンジスキームは1910〜1920年代にアメリカで活動していたチャールズ・ポンジという詐欺師が考案した手法で、名称にもその名前が用いられています。
考案されてから100年近く経つ手法ですが、今も投資詐欺の多くがこのポンジスキームだと言われています。
ポンジスキームには、大きく5つの特徴があります。
もし、このような特徴を含む投資話が持ちかけられたら注意しましょう。
ポンジスキームは高い配当金を「餌」にして出資を募る投資詐欺です。
出資者に魅力を感じてもらえるよう高い利回りを提示しますが、その裏側の仕組みには無理があることがほとんどです。しかし、仕組みや数字は巧妙に作り込まれており、プロが見てさえ見抜けないこともあります。
相場よりもかなり利回りが高い場合にはご注意ください。
ポンジスキームは、出資ハードルを下げるためにも最初は少額から始められることも特徴のひとつです。
しばらくは提示された通りの高額な配当金を受け取ることができるので、少額で始めた出資者も徐々に投資話を信用し、より多くの配当金を受け取ろうとして追加で出資してしまいます。つまり、出資者自らが進んで被害額を大きくしてしまうわけです。
投資詐欺に関するニュースなどで「○○千万円の被害に遭った」のような高額被害がよく報じられていますが、こうした被害も最初は少額であるケースが多くあります。
基本的に、元本保証がある投資は存在しません。
安全性が高いと言われる銀行預金や国債でさえ、万が一銀行や国が破綻してしまうと100%元本が保証されるとは限りません。
にも関わらず、元本保証やそれと誤解させる表現をしている場合にはポンジスキームの疑いが強いと言えるでしょう。
ポンジスキームの特徴のひとつに「紹介制度」があり、第三者を紹介すると紹介者に高額な紹介料が支払われます。
配当金を受け取っているうちは出資者も投資話を信用していますし、紹介料が得られることもあって、善意で「良い儲け話がある」と周囲に広めてしまいがちです。
これにより、被害者・被害総額が加速度的に膨らんでいってしまうわけです。
ポンジスキームでは、できるだけ短期間で大勢の出資金を募り、十分な額に達した時点で資金を持ち逃げするというのが常套手段です。そのために、過度なTVCMで認知や信用を得たり、豪華なパーティーを開いて出資者を集めたりします。
「TVCMが放映されているんだから安心だ」
「有名人がCMしているんだからちゃんとしたサービスなんだろう」
と感じてしまいますが、過去に有名人がそうと知らずにポンジスキームのCMに出演していた例は多数あります。
CMで認知されているから、有名人が勧めているからといった理由で信用してしまわないようにしましょう。
不動産投資で完全なポンジスキームを見かけることはあまりありませんが、近しい詐欺は横行しています。
騙されないためには「物件スペックに対して利回りが高すぎないか」をチェックすることが大事です。
利回りが高いと「良い物件」と思いがちですが、実際に入居してもらえないと想定していた家賃収入を得ることができません。立地や間取り、家賃といった物件スペックと利回りを見比べて、
などを確認するようにしましょう。