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不動産

相続登記の義務化は2024年4月1日から|経緯や罰則などを解説

2024年8月9日 金曜日

不動産を相続した際に必要となる「相続登記」。

これまで、相続登記や住所などの変更登記は相続人の任意とされてきましたが、2024年4月1日から相続登記が義務化されることとなりました。
(住所などの変更登記の申請義務化は2026年4月1日施行予定)
義務化されたことを知らないまま相続した土地や建物を放置していると、ある日突然、過料を求める請求書がポストに届く……なんていう災難が身に降りかからないとも限りません。

そうした事態を避けるためにも、この記事では、相続登記が義務化された時の対応期間や罰則、義務化の経緯などを分かりやすく解説します。

相続登記とは

相続登記とは、土地や建物といった不動産を所有していた人(被相続人)が亡くなった時に、その名義を相続人に変更する手続きのことです。手続きは、対象となる不動産の所在地がある法務局(登記所)で行います。

たとえ不動産を相続したとしても、相続登記を済ませていなければ「不動産の所有権が自分にあること」を法的に証明できませんので、不動産を売却したり、不動産を担保として融資を受けたりすることができません。
また、相続登記を済ませないまま自身が亡くなってしまうと、次の遺産分割協議が難航したり揉めたりする可能性が高くなり、遺されたご家族に大きな負担を強いてしまう恐れもあります。

土地や建物の所有関係を明確にし、不動産を有効かつスムーズに活用するためにも、不動産を相続すると決まった際には早めに相続登記を済ませるようにしましょう。

相続登記が義務化された経緯

これまでは相続人の任意とされてきた相続登記。
申請期限が定められておらず、放置による罰則も設けられていなかったため、相続登記が先延ばしにされてしまうケースは決して珍しくありませんでした。
相続登記に伴う手間や費用、固定資産税の支払いを避けるために、あえて相続登記をしないといったケースも考えられます。

所有者が不明な土地、あるいは所有者が明らかなもののその所在が不明な土地を「所有者不明土地」と呼称しますが、近年では、相続登記が正しく行われないなどの理由で所有者不明土地が増加していることが社会問題となっています。所有者不明土地は管理が行き届いていないことが多く、周辺環境や治安に悪影響を及ぼしかねないうえ、行政が適切に処分することも困難なためです。

2022年度には、不動産登記簿上で所有者の所在が判明しなかった土地の割合が24%まで上昇(令和4年度国土交通省調べ)。
こうした所有者不明土地は日本各地に点在しており、その総面積は九州の土地面積より広いとさえ言われていますが、この割合は今後もさらに増えていくことが予想されています。

所有者不明土地・建物が増えると、不動産取引や都市開発が妨げられるだけでなく、管理不全状態に陥った所有者不明土地が土砂崩れを起こしたり、老朽化した所有者不明建物が地震によって倒壊したりといった被害も懸念されます。防災・減災に向けたまちづくりを進めようとしても、対象エリアに所有者不明土地・建物があると工事を進めることもできません。
行政がなんとかしようとしても、所有者不明土地を国や自治体が管理するためには所有者あるいはすべての相続人の捜索・連絡を経て合意を得なければならず、たった一件処理するだけでも膨大な手間と費用がかかります。

こうした現状を受けて、所有者不明土地・建物への対策として相続登記の義務化が決定されたのです。

相続登記の義務化による変更点

相続登記は2024年4月1日から義務化され、義務化以降は相続登記に期限や罰則が設けられます。

相続や遺贈によって不動産を取得した人は、【自己のために相続が開始したことを知り、かつその所有権を取得したことを知った日から3年以内】に相続登記の申請を行う必要があります。
相続人が複数いる場合は、【遺産分割が成立した日から3年以内】に相続登記の申請をしなければなりません。

なお、これらの義務は施行日(2024年4月1日)以前に相続が発生していた場合にも適用され、

  • 相続登記義務の要件を満たした日から3年以内
  • 施行日(2024年4月1日)

のうち、どちらか遅い日までに相続登記を済ませる必要があります。

正当な理由がないにも関わらず、定められた期間内に相続登記を行わなかった場合には、10万円以下の過料を求められる可能性があります。
「正当な理由」とは、相続人が極めて多く、相続人の把握や連絡、必要書類の収集に時間がかかるケースなどを指します。

相続登記の申請手順

相続登記の申請手順は、大きく分けて

  • 遺産分割協議によって不動産を相続した場合
  • 法定相続によって不動産を相続した場合
  • 遺贈によって不動産を取得した場合

のいずれに該当するかによって手順が異なります。

このうち、比較的シンプルな「法定相続によって不動産を相続した場合」の手順をご紹介します。

  1. 戸籍関係の書類を取得する(相続開始の証明および法定相続人の特定)
  2. 登記申請書の作成(法務局に提出する書類を作成)
  3. 登記申請書の提出(相続する不動産の所在地がある法務局に書類を提出)
  4. 法務局から登記完了証・登記識別情報通知書の交付

法務局のホームページでは、登記申請を行う相続人の方に向けたハンドブックを公開しています。
不動産を相続する可能性が生じた際には、まずこのハンドブックを一読し、大枠の流れを把握しておくといいでしょう。

なお、今回ご紹介したのはあくまでシンプルなケースにおける申請手順です。
相続の内容・状況によって手順が異なる場合がありますので、ご不安な方は司法書士や弁護士といった専門家に相談することをおすすめします。

まとめ

社会問題化した「所有者不明土地」への対策の一環として施行された、相続登記の義務化。
相続登記によって不動産を適切に管理することは、土地や建物を有効活用したり、有事の際に二次災害を引き起こしたりしないためにも極めて重要です。

罰則を受けないためにはもちろん、土地や建物を適切に取り扱うためにも、義務化後は必ず期限内に相続登記を済ませるようにしましょう。