一時期、ニュースなどで「老後2,000万円問題」が盛んに取沙汰されていました。
金融庁が発表した「高齢夫婦の無職世帯では、年金に加えて2,000万円が必要になる可能性がある」という試算が事の発端です。
もし、このニュースを見て、
「だったら老後の生活資金として2,000万円貯金しておけば大丈夫!」
と考えている方がいらっしゃるなら、それは少し危険です。
将来に備えるためには、今や貯金だけでは十分とは言えません。
経済変動や支出の増加、インフレによる物価高などを鑑みると、貯金だけで備えておくのはリスクが高いのです。
このことは老後資金に限った話ではなく、マイホームやマイカーの購入資金や、お子さんの教育資金などの備えにおいても同様です。
なぜ、貯金だけでは危険なのでしょうか。
万全の備えをするためには、貯金だけでなく何をすればいいのでしょうか。
本記事では公的なデータをもとに、その理由や方法を解説します。
総務省の家計調査によると、二人以上の世帯での平均貯蓄額は約1,984万円と報告されています。
ただし、これはあくまで平均値であり、約3分の2の世帯がこの平均額を下回っていることに注意が必要です。
同資料内では中央値についても報告されていますが、こちらは1,189万円となっています。
とはいえ、こちらの値は貯蓄保有世帯に限って集計した数値ですので、貯蓄ゼロの世帯も含めるとさらに数値は下がるはずです。
加えて、住宅ローンなどで負債を抱えていることも忘れてはなりません。
1世帯当たり負債現在高の平均値は663万円となっており、前年に比べて1.3%増加しています。
「平均値が2,000万円近くなんだから、このまま真面目に働いていれば自分も2,000万近く貯められるだろう」
と早合点するのは大いに危険です。
老後の収入と支出の差について触れた代表的な公的指摘としては、2019年に金融庁が発表した報告書が有名です。
その中で、あるモデルケースでは、平均的な高齢夫婦世帯で毎月約5万円の不足が生じると算出されました。
これが年換算で約60万円。
余生が30年続くとすると、約2,000万円の不足額になるというわけです。
「老後2,000万円問題」の元となったこの試算が示すのは、年金収入だけでは生活費を賄えず、貯蓄を取り崩す必要があるという厳しい現実です。
貯金が十分にあれば補えますが、中央値レベルの貯蓄では長期の不足をカバーできず、充実した老後を過ごせなくなる危険があります。
内閣府の高齢者調査では、「貯蓄は十分だと思う」と回答した人の割合は全体のわずか5.9%。
「少し足りないと思う(21.9%)」「かなり足りないと思う(35.2%)」の合計が過半数を占めており、貯蓄に不安を抱えたまま老後を迎えた方が多くいる現状が伺えます。
日本では長期的に物価が変動するため、単に現金で貯めているだけでは将来の生活費の実質的価値が下がってしまう可能性があります。
物価が上がっても貯金の利子はほとんどつかないため、生活費の増加に追いつけないリスクがあるのです。
日本人の平均寿命は高く、80歳〜90歳まで生きる人も多くなっています。
仮に65歳で退職してから90歳まで生活する場合、25年分もの生活費を確保する必要が出てきます。
貯金だけでこれを賄うのは容易ではありません。
公的年金は生涯受給できる仕組みですが、収入全体をカバーできるものではありません。
報告書の試算でも年金収入だけでは毎月不足が発生し、その分を取り崩していく形となっています。
さまざまな公的データを見てきましたが、どの数値を見ても「貯金だけで老後は危険」ということがお分かりいただけたかと思います。
年金収入だけで充実した老後生活を送ることが困難な現代。
単純に貯金をしているだけでは十分ではなく、インフレ・長寿化・支出増といった危険にしっかり備えられる環境を構築しておくことが重要です。
こうした危険に対応するためには、計画的な資産形成が必要になります。
貯金と投資を組み合わせることで、長期的な資産の伸びが期待でき、老後の生活費の不足を補える可能性が高まります。
若いうちから準備しておきたい投資のひとつが「不動産投資」です。
実物資産である不動産は安定した収入源になりやすく、老後の備えとして有効な選択肢のひとつです。
貯金ではなく、不動産投資をはじめとする投資商品も取り入れて、将来の安心を築いていきましょう。