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不動産投資は円安時にも有効!ただし注意点も… 現物資産で円安に備えよう

2023年4月7日 金曜日

一時は「1ドル=150円超」という未曾有の円安に陥った、混乱の2022年。

同年12月下旬に日銀が行った金融政策によって「米ドル/円」が急落し、記事執筆時点(2023年1月下旬)では「1ドル=120円台後半」あたりまで落ち着いたため、円安のピークはすでに去ったものと見なされています。

しかし、これ以前にも数年~10年前後のスパンで強めの円安トレンドが生じており、この先いつ何時また円安に転じるのかは極めて予測が困難です。

こうした急激な円安時にも有効とされているのが「不動産投資」です。

この記事では、

  • 不動産投資が円安に有効な理由
  • 円安時における不動産投資の注意点

について詳しく解説します。

不動産投資が円安に有効な理由

不動産投資が円安に有効な理由は、大きく以下の3つです。

  • 円安によるインフレが起きても資産価値が目減りしない
  • 円安・インフレが家賃に直接影響を与えることは少ない
  • 海外投資家の参入によって市場が活性化する

それぞれ順を追って見ていきましょう。

円安によるインフレが起きても資産価値が目減りしない

毎回とは限りませんが、円安に連れてインフレ(モノの価格が上昇すること)が起きることは珍しくありません。

今回の円安でも、原材料や輸送費が高騰したことでインフレが引き起こされましたが、不動産や金、高級腕時計といった「実物資産」はインフレの影響を受けづらいという特徴があります。

たとえば、100万円の資産価値がある「現金」と「不動産」を保有していたとしましょう。

100万円の現金があれば、100円のりんごを1万個購入することができますが、インフレによってりんごの価格が110円に上昇すると、9,090個しかりんごを買えなくなってしまいます。

「現金100万円」という額面自体は変わらないものの、インフレによって現金そのものの価値が相対的に下がっているため、資産価値が目減りしてしまっているのです。

一方、100万円の資産価値がある不動産は、インフレ時でもそのまま100万円の資産価値を維持することができます。

売却して現金化しようとした場合、インフレによって物件価格相場が上昇している可能性があるため、場合によっては資産価値が100万円以上に増えている可能性もあります。

物件価格がインフレ前と変わらず100万円のままだったとしたら、無理に現金化せず、インフレが落ち着くまで不動産のまま保有しておけばいいのです。

このように、不動産などの実物資産はインフレによって資産価値が目減りしないため、円安時にも有効と考えられています。

円安・インフレが家賃に直接影響を与えることは少ない

円安によってインフレが起こると、モノやサービスの価格が上昇します。

「価格が上昇する」と聞くとネガティブに感じますが、主に需要増によって引き起こされる「良いインフレ」であれば、景気がよくなり、給与水準も上昇することから消費が進み、経済が発展していきます。

一方、原材料や輸送費の高騰などに起因する「悪いインフレ」であれば、給与水準が上がらないまま物価だけが上昇してしまうため、消費が滞り、経済が縮小してしまいます。

今回の円安では「悪いインフレ」が起きてしまい、消費活動の停滞が懸念されていますが、家賃はこうした影響を受けづらい傾向にあります。

「物価上昇が続いて生活苦に陥る人が多いため、家賃を引き下げてほしい」という事態にはならないためです。

家賃が引き下げられる主な要因としては、

  • 人口流出や災害などにより、そのエリア全体の家賃水準が引き下げられた
  • 空室対策の一環として家賃引き下げを決めた

の2つが考えられますが、インフレは家賃引き下げの直接の理由にはなりません。

  • インフレによって生活苦に陥り、住居のグレードを落とす人が増えた
  • 今の家賃水準では人が集まらなくなり、空室が続くようになった
  • 空室対策の一環として、家賃の引き下げを決めた

のように、インフレが家賃引き下げのきっかけとなりうることもありますが、インフレのためだけにエリア一帯の空室率が悪化するということはあまり考えられないため、必ずしも「円安・インフレが起こると家賃収入が減少する」とは限りません。

海外投資家の参入によって市場が活性化する

円安が進むと、日本国内のモノやサービスは、海外在住者にとって「お買い得」となります。

そのため、円安時には海外投資家らが日本の不動産を積極的に購入する傾向にあります。

今回の円安時にも、主に中国人投資家が都内の不動産を「爆買い」していたことがニュースとなりました。

海外投資家らの参入によって、不動産市場は活性化します。

これにより、主に新築物件の価格相場が上昇します。

新築物件が高騰すると、新築に手を出せなくなった人が中古物件を検討するため、結果的に中古物件の価格相場も上昇します。

不動産投資は流動性の低さがデメリットとして挙げられがちですが、市場の活性化によって需要が高まる円安時であれば、予測よりも高い金額で不動産を売却することも期待できます。

メリットばかりじゃない!円安時にはここに注意

もちろん、円安がすべて不動産投資にとって追い風になるとは限りません。

円安時に不動産投資を始めようという方、あるいはすでに投資用物件を所有している方は、以下の点に注意しましょう。

  • 物件価格が上昇するため購入ハードルが上がる
  • 金融政策によって金利が上昇することも
  • 原材料費高騰によって修繕費が上がる

物件価格が上昇するため購入ハードルが上がる

先程、メリットとして挙げた「物件価格の上昇」ですが、これから不動産投資に参入しようという方にとっては大きなデメリットとなります。

いざ円安が激化してから「円安には不動産投資が有効と聞いたから」と慌てて新規参入するのではなく、為替相場が安定しているうちにめぼしい物件を確保しておくようにしましょう。

金融政策によって金利が上昇することも

円安が進むと、今回のように金融政策などの措置が取られることもあります。

通常、円安によるインフレ時には、中央銀行(日本では日銀)が金利を上げる「金融引き締め」が行われますので、世の中の金利相場が上昇します。

もちろん、不動産投資ローンもその例外ではありません。

不動産投資ローンの金利が上がれば、たとえ物件価格が同じだったとしても、支払う総額は高くなります。

加えて、海外投資家らの参入によって物件価格そのものも高騰している可能性があるため、物件購入ハードルがより高くなる恐れがあります。

原材料費高騰によって修繕費が上がる

修繕に使う原材料の多くは輸入に依存していますが、円の価値が下がる円安時には輸入が不利となるため原材料費が高くなります。

また、原材料の輸送に必要となる原油も輸入に依存しているため、輸送費自体も上昇することが考えられます。

これらの理由により、円安時には修繕費が高騰する可能性があります。

いざ円安となった際にこうしたポイントで焦らないよう、

  • 円安時に慌てて不動産投資に参入するのではなく、相場が落ち着いている時に始める
  • 修繕費の高騰にも耐えられるよう、余裕をもった金額を積み立てておく

などの対策を講じておきましょう。