「路線価」という言葉をご存知でしょうか。
不動産投資初心者の方でも、マイホームを検討する際などに耳にしたことがあるかもしれませんね。
今回は、不動産投資においても大きな役割を持つ「路線価」について解説します。
路線価とは、国税庁が定期的に発表している「路線(道路)に面する宅地1平方メートルあたりの土地の評価額」であり、千円単位で表示されます。
一般的に、路線価が定められている地域の土地などを評価する目的で利用されます。
路線価には「相続税路線価」と「固定資産税路線価(固定資産税評価額)」の2種類がありますが、「路線価=相続税路線価」を指すことが一般的です。
相続税路線価 | 固定資産税路線価 (固定資産税評価額) | |
---|---|---|
評価額の用途 | 土地の相続税評価額 | 土地の固定資産税評価額 |
利用される税金 | 相続税や贈与税 | 固定資産税や都市計画税、 登録免許税、不動産取得税 |
主体 | 国税庁 | 市区町村(東京23区は都) |
評価時点 | 毎年1月1日 | 3年ごとの1月1日 |
公表時期 | 毎年7月1日 | 3年ごとの3月または4月 |
価格水準 | 公示価格(※)の80%程度 | 公示価格(※)の70%程度 |
※公示価格:国土交通省の土地鑑定委員会が、地価公示法に基づいて毎年公示している標準値の価格のこと。土地売買取引や公共事業の土地収用時などに指標として用いられる。
固定資産税路線価は3年に一度の更新ですが、相続税路線価は毎年更新されるため、最新の実態を反映した数値を知ることができます。
不動産投資においては、以下の方法で路線価を活用することが一般的です。
それぞれについて見ていきましょう。
路線価をもとに「実勢価格」の目安を算出(※)しておけば、不動産会社が提示する「査定価格」とのギャップを知ることができます。
実勢価格と査定価格に大きなギャップがなければ、その不動産会社は誠実に対応してくれる会社であると判断できるでしょう。
※:路線価をもとにした実勢価格の目安の算出方法は後述します。
ただし、たとえ路線価が高かったとしても、土地の形状や接道条件などで不動産の評価額は大きく変動します。
路線価から算出した実勢価格だけに頼らず、そうした付加情報も考慮して判断することが重要です。
路線価を見れば、そのエリアの資産価値が高いのか・低いのかの目星をつけることができます。
不動産投資において「エリアの資産価値」は極めて重要なポイントとなるため、投資エリアを検討する際には路線価情報を確認するといいでしょう。
ただし、前述したとおり、路線価は周辺環境などの条件を加味していません。
路線価は重要な指標のひとつですが、それだけに縛られないよう注意が必要です。
相続税路線価は毎年更新されますので、その推移を見れば、エリアの将来性を予測することができます。
数年にわたって路線価が安定した推移を見せているようであれば、この先も将来性が期待できるエリア。
過去に比べて路線価が落ち込んでいるようであれば、将来性にやや懸念があるエリアと考えられます。
路線価から実勢価格の目安を算出する計算式は以下のとおりです。
上記の計算式で算出される実勢価格は、あくまで目安であり、状況に応じて実際の価格と大きな乖離が出ることもありますが、ひとつの参考値として把握しておくと便利です。
計算式自体は非常にシンプルですぐに計算できるため、目ぼしい物件を見つけたら、まず最初に路線価と実勢価格を把握しておくといいでしょう。
エリアの将来性を予測したり、不動産会社の信頼性をはかる目安にしたりと、路線価は不動産投資において欠かせない存在です。
「物件選び」という、不動産投資における極めて重要なフェーズで役立つ路線価。
路線価をうまく活用し、目的に合った物件選びへとつなげましょう。