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不動産

不動産賃貸仲介の「AD」ってなに?ADの上手な使い方や注意点を解説

2022年10月28日 金曜日

賃貸仲介における「AD」をご存知ですか?

不動産投資初心者の方には耳馴染みのない言葉かもしれませんが、実は賃貸物件を経営するうえで欠かせない重要なものなんです。

この記事では、

  • ADの基本情報
  • ADのメリット・デメリット
  • ADを上手に活用するためのポイント
  • ADの注意点

について解説します。

AD(不動産広告料)とは

不動産賃貸仲介において、ADとは「advertisement(アドヴァタイズメント:意味「広告」)」の略で、「不動産広告料」のことを指します。

ほかに「広告宣伝費」や「業務委託料」などと呼ばれることもあります。

入居者募集のための一般的な広告料は「仲介手数料」に含まれますが、仲介手数料では補いきれない特別な広告活動などを行った場合にADが発生します。

仲介手数料は「家賃の1ヶ月分」が上限と定められていますが、ADの上限は法的には定められていません。

通常、大家や賃貸管理会社が不動産仲介業者に追加広告を依頼することによってADが発生し、その支払いは依頼者(大家や賃貸管理会社)が負うこととなります。

支払いのタイミングは、仲介手数料と同じく「物件への入居が成立した時」です。

一般的に、ADは「家賃の○ヶ月分」という表し方をされます。

たとえば「AD100」は家賃1ヶ月分、「AD300」は家賃3ヶ月分をADとして支払うことを意味します。

ADの相場は物件があるエリアや時期などによって変動しますが、都市部の物件であれば家賃1~2ヶ月分がおおよその相場とされています。

ADのメリットとデメリット

「仲介手数料に上乗せして広告料を支払うのは損じゃないか」

「できることなら余計な出費は抑えたい」

不動産オーナーの中には、そう考える方も多くいらっしゃるかと思います。

たしかに、「通常であれば必要ないはずの出費」であるADを支払うということは、金銭的にも精神的にもオーナーの負担となるでしょう。

しかし、ADをうまく活用できれば、目先の金銭的負担以上のメリットを得られる場合もあるのです。

ADを上手に活用するために、まずはADのメリット・デメリットを把握しておきましょう。

ADのメリット

AD付きの物件は、成約時に不動産仲介業者が受け取れる利益が多いため、業者が熱心に客付活動を行ってくれる傾向にあります。

つまり、ADには一種の「インセンティブ」的な側面があると言えるのです。

  • 賃貸ニーズの低い郊外の物件
  • 駅遠や線路沿いなど、立地がよくない物件
  • 内覧者自体がなかなか集まらず、空室が続いている物件
  • 人の動きが少ない閑散期

などにADをつけると、客付活動が活発化し、物件の紹介頻度や成約率の向上が期待できます。

不動産投資においてもっとも避けたいリスクは「空室が続き、家賃収入が得られないこと」ですから、時と場合によっては「ADを付けてでも早期客付を狙ったほうがお得」ということも多いのです。

ADのデメリット

もちろん、ADをつけると金銭的な負担は大きくなります。

通常の仲介手数料に上乗せしてADを支払うことになるため、キャッシュフローが悪化する可能性がありますので注意が必要です。

ADをつけてでも空室状態の改善を目指すか、別の対策を講じるかは慎重な見極めが必要です。

ADを上手に活用するためのポイント

ADを上手に活用するためには、以下の4ポイントが重要となります。

  • ADを設定する際は、広告活動の内容や意義を確認する
  • 賃貸ニーズが高い時期(1~3月)はADの設定を見直す
  • 近隣のライバル物件がAD付きかどうかを確認する
  • ADをつけても成約率が向上しない場合は定期的な見直しを

ADを設定する際は、広告活動の内容や意義を確認する

ADを設定する際は、

  • 実際にどのような広告活動を行ってくれるのか
  • それによりどの程度の集客が見込めるのか

などを可能な限り明らかにし、ADをつける意義があるかどうかを確認しましょう。

いくら熱心に広告活動を行ったとしても、その内容が物件のターゲットとずれていては意味がありません。

業者に丸投げするのではなく、オーナー自身が内容を把握し、「これなら実施する意義がある」と納得して臨むことが大切です。

賃貸ニーズが高い時期(1~3月)はADの設定を見直す

賃貸ニーズは常に一定というわけではなく、一年を通して高い時期と低い時期があります。

一般的には、例年1月から3月にかけて高い時期を迎え、3月のピーク以降はほぼ横ばいに推移する傾向が見られます。

ADは「集客が難しい物件や時期に対し、早期客付を目指して投じる広告料」ですので、自発的な集客が見込める1~3月はADの設定金額を下げる、あるいは外してしまってもいいでしょう。

近隣のライバル物件がAD付きかどうかを確認する

条件が似ている近隣の「ライバル物件」がAD付きかどうかも重要なチェックポイントです。

もしライバル物件がAD付きであれば、同条件にしなければ同じ土俵で戦うことすら難しくなるかもしれません。

利益を伸ばしたい仲介業者はAD付きの物件を優先的に紹介するため、もしあなたの物件だけがAD付きでなければ、AD付きのライバル物件ばかりが入居希望者に紹介され、あなたの物件は目に触れることすらない、という事態にもなりかねないのです。

ADをつけるかどうかの判断材料とするためにも、近隣のライバル物件のAD状況を確認しておきましょう。

ADをつけても成約率が向上しない場合は定期的な見直しを

しばらくADをつけていても成約率が向上しない、内覧者が増えないといった場合には、物件そのものが何かしらの課題を抱えていると考えられます。

特に、内覧者が増えているにも関わらず成約につながらない場合は、物件自体に手を入れる必要があると言えるでしょう。

そうした場合には、

  • ニーズやターゲットに応じて適切なリフォームを行う
  • 外観をメンテナンスする
  • 宅配ボックスなどの人気設備を設置する
  • 電車以外の交通網(路線バスなど)で利便性をアピールする
  • 駐輪場やバイク置き場を設ける
  • ペット可や楽器演奏可など、入居条件を緩和する
  • フリーレント(入居時から数ヶ月分の家賃をゼロにするサービス)を導入する
  • 敷金・礼金などの初期費用や更新料を減額する

などの対策を講じ、物件自体の魅力を上げることを考えてみてはいかがでしょうか。

また、募集資料(マイソク)の定期的な見直しも有効です。

  • 最新の情報が明記されているか
  • 写真の数は少なくないか
  • 写真の見栄えはいいか
  • 図面は分かりやすく表記されているか

などをチェックし、修正するだけでも一定の効果が見込めます。

「ADの設定金額が低すぎるため、AD付きである意義が薄れている」といった可能性もありますが、むやみに設定金額を引き上げすぎると損をしてしまいかねません。

近隣エリアのAD相場を把握し、相場の範囲内でADを活用することをおすすめします。

ADを強要してくる不動産仲介業者には要注意

先程、「ADにはインセンティブ的な側面がある」と言ったとおり、ADは仲介業者にとって旨味の多いものです。

悪徳業者の中には、本来であれば不要なADを設定するよう促し、必要以上に利益を得ようとする業者もいると考えられます。

たしかに、物件の状況や時期によってはADの設定が必要となる場合も多いですが、ADを設定する際には、

  • 本当にADが必要となる物件なのか
  • 本当にADが必要となる時期なのか
  • 実際にどのような広告活動を行ってくれるのか
  • その地域・物件規模のAD相場と乖離していないか

などを確認しておくことが欠かせません。

やたらとADを勧めてくる不動産仲介業者は信用できない恐れがあるため、信頼できる業者とタッグを組むようにしましょう。

まとめ

ADを「余分な出費」にしてしまうか、「効率的に入居者を確保するための手段」にできるかは、この記事で挙げたポイントが大きく関わってきます。

改めてポイントをおさらいしておきましょう。

  • ADを設定する際は、広告活動の内容や意義を確認する
  • 賃貸ニーズが高い時期はADの設定を見直す
  • 近隣のライバル物件がAD付きかどうかを確認する
  • ADをつけても成約率が向上しない場合は定期的な見直しを

ADをうまく活用し、空室とは無縁の賃貸経営を実現しましょう。