近年、物価上昇や円安、社会保障制度への不安などを背景に、「資産を増やす」だけでなく「資産を守る」ことの重要性が高まっています。
資産を増やすための動きは「資産運用」。
では、資産を守るための動きはなんというかーーそう、「資産防衛」です。
本記事では、資産防衛の基本的な考え方や具体的な方法、さらに長期的な資産防衛に役立つ投資方法についてわかりやすく解説します。
資産防衛とは、保有している資産の価値を将来にわたって維持・保全するための取り組みを指します。
単に資産を増やすことではなく、インフレや経済危機、為替変動などによる資産価値の目減りを防ぐことが目的です。
「資産価値が目減りすると言われても、あまりピンとこない……」
「預金だけだと危険だと言われるけど、なぜ?」
そうした疑問にお答えすべく、具体的な例をご紹介しましょう。
総務省の長期時系列データによると、消費者物価指数は1995年から2025年頃までで概ね約15〜20%上昇しています。
(出典:総務省「消費者物価指数 全国 1 品目別価格指数(1970年~最新年)」
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&query=shpcsa&layout=dataset&stat_infid=000032103938)
分かりやすく、30年間で物価が18%上昇したとしましょう。
例えば、1995年に1,000万円だった車が、2025年には1,180万円になったとします。
車そのものは変わっていませんが、物価が上昇したことで180万円高くなったわけです。
ここで、1995年に1,180万円を預金したまま30年間一切運用せず、2025年まで保有していたとします。
1995年当時であれば、1,000万円の車を購入しても180万円が手元に残ります。
しかし2025年になると、その車は1,180万円に値上がりしているため、預金していた1,180万円をすべて使っても車を1台買うだけで終わってしまいます。
つまり、30年間で預金残高は1,180万円のまま変わっていないにもかかわらず、買えるものは1995年当時の「1,000万円分」まで減ってしまったということです。
これが「現金の価値が目減りする」という意味です。
金額そのものは減っていなくても、購入できるモノやサービスが少なくなれば、お金の実質的な価値は下がっていると言えます。
近年は以下のようなリスクが顕在化しています。
昔は銀行預金の金利が高かったため、たとえ現金価値が低下したとしても、利息によって預金額そのものが増えていくため「(預金したまま)何もしない」でも不便はありませんでした。
しかし、低金利が続いている現代においては、「何もしない」では資産を守ることができません。
そのため、資産形成と同時に資産防衛を意識した運用が重要視されています。
資産防衛にはさまざまな手法があります。
重要なのは、一つの資産に集中せず、複数の資産へ分散してリスクを軽減することです。
生活防衛資金として、一定額の現金や預金を確保しておくことは基本です。
急な病気や失業、災害などが発生した場合でも、すぐに利用できる資金があることで安心感につながります。
ただし、預金だけに資産を集中させると、インフレに弱いというデメリットがあります。
株式や投資信託は、企業の成長や経済成長の恩恵を受けられる資産です。
長期・積立・分散を基本とすることで、資産価値の維持や成長が期待できます。
一方で、市場環境によって価格が大きく変動するため、リスク管理が欠かせません。
金は古くから「有事の資産」として知られています。
世界的な金融危機やインフレ時に価値が見直されやすく、資産分散の一つとして活用されています。
ただし、金そのものは配当や利息を生まないため、保有比率には注意が必要です。
資産防衛の観点から注目されているのが不動産です。
土地や建物といった実物資産であるため、インフレ時にも価値が残りやすい特徴があります。
また、賃貸需要のある物件であれば家賃収入も期待できるため、資産価値の維持と収益性を両立できる可能性があります。
資産防衛の手段として不動産投資が注目される背景には、他の金融資産にはない特徴があります。
インフレが進むと、現金の価値は相対的に低下します。
一方、不動産は実物資産であるため、物価上昇に合わせて資産価値や賃料が上昇するケースがあります。
そのため、インフレ対策として有効な選択肢の一つとされています。
株式市場が大きく変動していても、入居者がいる限り家賃収入は継続します。
特に人口流入が続く都心部の駅近物件は賃貸需要が比較的安定しており、長期的な運用を目指しやすい傾向があります。
資産の大半を預金や株式だけで保有している場合、市場環境の変化による影響を受けやすくなります。
不動産をポートフォリオに組み込むことで、金融資産とは異なる値動きを持つ資産を保有でき、リスク分散につながります。
不動産投資は短期間で大きな利益を狙う投資ではありません。
一方で、長期的に家賃収入を積み上げながらローン返済を進めることで、将来的に資産として残る可能性があります。
老後資金の準備や将来の収入源確保という観点でも活用されています。
資産防衛で重要なのは、「絶対に損をしない方法」を探すことではありません。
そもそも、「絶対に損をしない方法」などはあり得ないのです。
(現金・預金を保有しておけば金額が減る自体は防げますが、インフレが進む中ではどうしても「お金の価値」そのものが減少してしまいます)
大切なのは以下のポイントです。
資産防衛は一度行えば終わりではなく、ライフステージや経済環境の変化に応じて継続的に見直すことが重要です。
資産防衛とは、資産を増やすだけでなく、将来に向けて資産価値を守るための考え方です。
インフレや経済環境の変化が続く現代では、現金だけに依存するのではなく、株式や投資信託、金、不動産などを組み合わせた分散投資が重要になります。
特に不動産は実物資産としての強みを持ち、安定した家賃収入も期待できるため、長期的な資産防衛の選択肢として注目されています。
将来の安心につながる資産づくりのために、自分に合った資産防衛の方法を検討してみてはいかがでしょうか。