ひとくちに「不動産投資」といってもその方法はさまざまで、選ぶ物件タイプによって投資スタイルは大きく異なります。
この記事では「マンション投資」と「戸建投資」それぞれのメリット・デメリットを詳しく解説していきます。
どちらがよりご自身に合った方法なのか、ぜひこの記事を参考にご確認ください。
マンション投資とは、購入した投資用マンションを貸し出して家賃収入(インカムゲイン)を得ることを主目的とした不動産投資方法のことです。
マンションの一室を購入して行う「ワンルーム投資(区分投資)」と、マンションやアパート一棟をまるごと購入して行う「一棟投資」に分類されます。
そんなマンション投資のメリットは、大きく以下の4つです。
物件の資産価値は「立地」に大きく左右されます。
駅に近ければ近いほど、またその駅に乗り入れる路線の利便性が高ければ高いほど物件の資産価値が高く、長きにわたって価値を維持することができます。
そんな好立地のスペースが空き地のまま放置されていることはまずありません。
すでに高層マンションが建てられていたり、古い物件を壊して新しい複合型商業施設の建設が進められていることがほとんどです。
そんな超激戦区に悠々と一戸建てを構える余地は、もはや皆無といっていいでしょう。
マンション投資であれば、そうした好立地に建つ物件を選択肢に加えることができます。
そのぶん物件価格は高額になりますが、家賃水準を高く設定することができ、将来的に売却するとなった際にも売りやすいという大きなメリットが得られます。
ワンルーム投資の場合、物件の規模によっては戸建投資よりも物件価格を安く抑えることができます。
もちろん、上述したような駅近好立地のタワーマンションともなると高額になりますが、単身者向けのコンパクトなワンルームマンションなどであれば、ある程度費用を抑えることができるでしょう。
ワンルーム投資の場合、一件あたりの物件価格を安く抑えられるため、複数エリアの物件を購入することで「分散投資」がしやすくなります。
複数エリアに分散投資することができれば、
などに加え、ワンルーム投資の大きなデメリットである「空室時には家賃収入がゼロになる」という事態も避けることができます。
こちらは一棟投資の場合になりますが、一棟投資では複数の部屋を貸し出すため、仮に数部屋が空室になってしまったとしても、残りの部屋に入居者がいれば家賃収入がゼロになることはありません。
ワンルーム投資であっても、上述した「分散投資」を行えば、これと近いメリットを得ることができます。
一方、マンション投資には以下のようなデメリットも考えられます。
一棟投資の場合、エレベーターの修繕や共用部分のタイルの張替えなど、修繕の規模が大きくなりがちです。
そのぶん修繕費用や管理費用が高額となってしまい、物件の維持にかかる費用がかさむ傾向にあります。
ワンルーム投資の場合、物件全体の運用・管理方針などを一存で決めることができません。
エントランスなどの共有部分はもちろん、自身が所有している部屋の内部であっても、リノベーションや賃貸条件の変更などが自由にできないケースもあります。
「空室が続いているので室内をリノベーションしたい」
「宅配ボックスをつけて入居率をあげたい」
といった空室対策に制限が出てしまうため、歯がゆさを感じることもあるでしょう。
節税効果を求めて不動産投資を始める方は一定数いらっしゃいますが、物件の種類によって節税効果は大きく異なります。
不動産投資における節税のキモは「減価償却費によって不動産所得に会計上の赤字を作り、損益通算によって給与所得を圧縮する」ことにあります。
この減価償却費を左右するのが「建物の法定耐用年数」です。
建物の法定耐用年数は、以下のように定められています。
構造 | 法定耐用年数 |
---|---|
鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造) 鉄筋コンクリート造(RC造) | 47年 |
鉄骨造 | 34年 |
軽量鉄骨造 | 19年 |
木造 | 22年 |
減価償却費は「物件価格 ÷ 減価償却期間」で算出されます。
中古物件は減価償却期間の計算がややこしいため、「減価償却期間 = 法定耐用年数」となる新築物件で例を見てみましょう。
たとえば、どちらも物件価格が1,000万円のSRC造区分マンションと、木造一戸建てを購入したとします。
SRC造区分マンションの減価償却期間(法定耐用年数)は47年となるため、一年間で計上できる減価償却費は「212,765円」となります。
木造一戸建ての減価償却期間(法定耐用年数)は22年となるため、一年間で計上できる減価償却費は「454,545円」となり、SRC造の区分マンションに比べて会計上の赤字が作りやすく、節税効果が高いことが分かります。
高層マンション、とりわけ新築マンションは法定耐用年数が長いSRC造・RC造であることが多いため、木造がスタンダードの一戸建てに比べて節税効果が節税効果が薄いのです。
戸建投資とは、一戸建ての物件を投資用として購入し、貸し出すことで家賃収入を得ることを主目的とした不動産投資方法のことです。
そんな戸建投資のメリットは大きく以下の4点です。
マンション投資のメインターゲットは単身者ですが(ファミリー向けマンションは除く)、戸建投資のメインターゲットはファミリー層となります。
一般的に、単身者の入居期間が平均4年であるのに対し、ファミリー層はその1.5倍となる平均6年であると言われています。
入居期間が比較的長いことによって、
といったメリットが得られます。
ファミリー層は車の所有率が高いため、移動手段を公共の交通機関に頼りがちな単身者ほど「駅近」へのこだわりがありません。
そのため、駅から離れた郊外型物件であっても一定の賃貸需要が見込めます。
賃貸マンションや賃貸アパートは星の数ほどありますが、賃貸戸建てはそこまで多くありません。
そのため「戸建てである」というだけで他物件との差別化ができ、マンションやアパート経営のような熾烈な競合争いを避けることができます。
ワンルーム投資の場合、土地の所有権は複数のオーナーが分割して保持することになりますが、戸建投資だと土地も建物もすべてオーナー個人の所有物となります。
そのため、老朽化が進んだ物件を取り壊して駐車場にしたり、ソーラーパネルを設置して売電収入を得たりと、家賃収入のみにこだわらない幅広い活用が可能です。
一方で、戸建投資には以下のデメリットも存在します。
戸建投資の場合、「一物件に一世帯の入居」が基本となるため、空室になると家賃収入がゼロになってしまいます。
ワンルーム投資にも同様のデメリットがありますが、複数エリアに分散投資することによってこのリスクを低減することができます。
一方、戸建投資は
などの理由から分散投資がしづらい傾向にあります。
メリット部分で「戸建投資は競合が少ない」ことに触れましたが、「競合が少ない=市場規模が小さい」ということは、そのぶんターゲットも限られるということです。
また、戸建投資のメインターゲットであるファミリー層は単身者ほど身軽に引越しできないこともあって、次の入居者が決まるまでの期間が長くなる傾向にあります。
不動産の流動性とは、簡単に言えば「物件の換金性(売れやすさ)」です。
不動産は、資産のなかでも流動性が低いとされていますが、特に戸建ては、
などの理由から、区分マンションよりもさらに流動性が低い傾向にあります。
ここまで、マンション投資と戸建投資のメリット・デメリットを解説してきましたが、果たしてどちらの投資方法を選ぶべきなのでしょうか。
分かりやすくまとめますと、以下に当てはまる人はマンション投資に向いていると言えます。
一方、戸建投資に向いている人は以下のとおりです。
ご自身の状況や投資へのスタンスなども鑑みて投資方法を選び、失敗や後悔のない不動産投資ライフを送りましょう。