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FIREより挑戦しやすい「バリスタFIRE」と「サイドFIRE」…その違いとは

2022年6月3日 金曜日

「Financial Independence, Retire Early(経済的自立と早期リタイア)」の頭文字を取って名付けられた「FIRE」。
もともとはアメリカで生まれ、ブームとなった概念ですが、近年では日本国内でもFIREを目標としている人が増えています。

そんなFIREの派生語である「バリスタFIRE」や「サイドFIRE」をご存知でしょうか。
FIREよりも実現しやすく、さまざまなメリットも備えたバリスタFIRE・サイドFIRE。
この記事では、そんなふたつのFIRE亜種について解説します。

バリスタFIREとは

バリスタFIREとは、生活費の半分を投資による運用益で、残りの半分をパートタイム雇用による賃金で賄う「セミリタイア型」のFIREです。
本家本元のFIRE同様、アメリカ発祥の概念であるバリスタFIRE。
アメリカでは会社を早期退職すると無保険になってしまうため、FIRE後も健康保険に加入する権利を得るべくパートタイマーとして就労する人が多く、そうしたライフスタイルを指して「バリスタFIRE」と呼称するようになったとされています。

つまり、本国アメリカにおけるバリスタFIREの目的には、

  • 投資による運用益にパートタイム雇用による賃金も加えて収入を安定させる

ということ以外にも、

  • 健康保険に加入できるという「労働者としての権利」を獲得する

ということも含まれている、というわけです。
ただし、日本では国民皆保険制度が導入されており、会社を退職したあとも国民健康保険などに加入することができますので、後者を目的としてバリスタFIREを選択する人は少ないと考えられます。

「バリスタ」が用いられている由来には諸説ありますが、「パートタイマーでも健康保険に加入できる会社としてスターバックスが有名なため」という説が有力です。

サイドFIREとは

サイドFIREとは、生活費の半分を投資による運用益で、残りの半分をサイドビジネス(副業)による収入で賄う「セミリタイア型」のFIREです。
サイドFIREとバリスタFIREの違いや関係性については、

  • 「サイドFIREの中に、パートタイマーという働き方を選んだバリスタFIREがある」

という考え方と、

  • 「パートタイマー+投資運用益をバリスタFIRE、それ以外の副業+投資運用益をサイドFIREとして、重複がないよう区別する」

という二種類の考え方があります。
どちらが正解といった明確な定義はありませんが、この記事では、両者を明確に区別するため後者の意味合いで解説します。

副業の定義は非常に広いため、さまざまな形で収入を得ることができますが、

  • 個人事業主(フリーランス)
  • YouTuber
  • アフィリエイター
  • 印税収入

などが考えられます。

パートタイマーを軸とするバリスタFIREと比較すると収入が安定しづらいですが、

  • 収入を生み出す手段の幅が広く、趣味や好きなことを副業に据えることもできる
  • 副業によっては、時給労働では叶えられないほどの高収入を期待することができる

などのメリットもあります。

バリスタFIRE・サイドFIREのメリット

生活費のすべてを投資による運用益(不労所得)で賄うFIRE(セミリタイア型のFIREに対して「フルFIRE」と呼ぶことも)。
これに対し、いわゆるセミリタイア型のバリスタFIRE・サイドFIREには、

  • FIREの実現ハードルが低い
  • 相場の暴落によるダメージが小さい
  • FIRE後も社会との関わりを持ち続けることができる
  • FIRE後の生活設計がしやすい
  • 働き方によっては社会保険に加入できることも

という5つのメリットがあります。

FIREの実現ハードルが低い

投資による運用益によって生活費すべてを賄うフルFIREは、魅力的ではありますが実現ハードルが非常に高く、安定して実現するには「年間支出の25倍の資産が必要」とされています。
仮に年間支出を300万円とした場合、必要となる資産は7,500万円にのぼります。
一方、運用益以外にもパートタイムやサイドビジネスによって収入を得るバリスタFIRE・サイドFIREであれば、フルFIREほどの資産を必要としません。
そのぶん実現ハードルが低く、十分な資産がなくとも憧れのFIREに挑戦しやすいのです。

相場の暴落によるダメージが小さい

投資による運用益が生活の鍵を握るFIREにおいて、相場の暴落によって受けるダメージは多大なもの。
もちろん、バリスタFIRE・サイドFIREにおいても悪影響は避けられませんが、生活費の半分は運用益以外の収入で賄っているので、フルFIREほど深刻なダメージは受けずに済みます。

FIRE後も社会との関わりを持ち続けることができる

定年を迎えるまで真面目に会社勤めをしていた人が、退職をきっかけにうつ病や認知症を発病してしまった、という話を耳にしたことはないでしょうか。
人が幸福に過ごすために、あるいは自己を確立するために、社会との関わりは非常に重要な役割を持ちます。
前述したような不幸な事象も、退職によって社会との関わりを突然失ったことが大きな要因になっていると考えられます。

バリスタFIREやサイドFIREであれば、FIRE後も社会との関わりを持ち続けることができます。
フルタイム勤務の時と比べて時間的・精神的な余裕もあるでしょうから、これまで以上に社会と良好に関わることができ、バランスのいい生活を送ることが可能です。

FIRE後の生活設計がしやすい

投資による運用益は、その時々の相場によって大きく変動します。
そのため、毎月いくらを生活費に充てられるかといった見通しが立てづらく、生活設計がしづらいという難点があります。

一方、バリスタFIREやサイドFIREでは、パートタイムやサイドビジネスによる収入が生活費の半分を支えています。

パートタイムやサイドビジネスであれば、どのように働くか、どの程度働くかが定まってさえいれば収入の目安が計算しやすいため、フルFIREよりも生活設計がしやすい傾向にあります。
パートタイムを軸とするバリスタFIREであれば、より収入の見通しが立てやすいでしょう。

働き方によっては社会保険に加入できることも

サイドFIREの一環として、副業的に週2~3日ほど会社員として働くことを選んだ場合、雇用先によっては社会保険に加入できる可能性があります。
社会保険料の半分は雇用先が負担してくれるため、社会保険に加入できればFIRE後の非消費支出を少なく抑えることができます。

また、社会保険に加入すると、

  • 傷病手当金などの保障が手厚い
  • 扶養制度があるため、世帯全体の保険料を抑えることができる

などのメリットを享受することも可能です。

まとめ

フルFIREに比べて実現ハードルが低いうえ、安定感の高さといったさまざまな魅力も備えたバリスタFIRE・サイドFIRE。

「FIREには憧れるけど、すべてを運用益で賄える自信がない…」

「人と関わることが好きなので、FIRE後も気楽に働けるといいな」

とお考えの方は、バリスタFIRE・サイドFIREといったライフスタイルを検討してみてはいかがでしょうか。