地球温暖化による気候変動問題が深刻化し、さまざまな異常気象を引き起こしている昨今。
こうした事態を食い止めるためには、日本のみならず、全世界が一丸となって環境問題に取り組んでいかなければなりません。
そんな時代において注目を集めているのが「ZEH(ゼッチ)」と呼ばれる高性能住宅です。
この記事では、
を解説しています。
ZEH(ゼッチ)とは、「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」を略した和製英語です。
年間に消費する正味(ネット)のエネルギー量がおおむねゼロ以下、つまり「使うエネルギー≦創るエネルギー」となるように建てられた高性能住宅を意味します。
ZEHは正味で100%の省エネを達成したものを指しますが、省エネ達成率が正味で75%のものは「Nearly ZEH」と呼称されます。
ZEHを実現するためには、
などを備える必要があると考えられています。
2018年に閣議決定された「第5次エネルギー基本計画」において、政府は以下のように目標を掲げています。
――引用:第5次エネルギー基本計画
この背景には、世界120以上の国と地域が目標として掲げている「2050年カーボンニュートラル(※)」の達成があり、国土交通省・経済産業省・環境省の3省が連携してZEHの普及および定着を推進しています。
つまり、ZEHの普及定着は国を挙げての一大事業というわけです。
※カーボンニュートラル:温室効果ガス(二酸化炭素など)の「排出量」と「吸収量」を均衡させ、その合計を実質ゼロにした社会のこと。地球規模の課題である気候変動問題の解決に有効とされている。
もともとは「2020年の時点でZEHを義務化しよう」という動きもあったのですが、現在、これは現実的ではないとして撤回されています。
ただし、この撤回はあくまで「延期」です。
環境問題への取り組みは今後も必要性が高まってきますから、ZEH住宅のために必要な技術が十分に普及し、中小の事業者でもZEHの建築が可能になれば、再度ZEHの義務化が議題にあがる可能性が高いと考えられます。
結論から申し上げますと、今後は投資用物件においてもZEHの必要性が高まってくると想定されます。
その理由は、
の2点です。
ZEHの普及促進により、省エネに関する関心が高まることが想定されます。
これにより、家の購入や賃借の際に「省エネ性能を判断材料のひとつとする傾向」が高まるとも考えられます。
実際に、住宅や建築物を販売・賃貸に出す際、広告などに省エネ性能を表示するという新制度の導入も検討されています。
加えて、今後ZEHの定着に向けて国からさまざまな支援策が提示されていくと予想されます。
すでに実施されている支援策や補助事業も多数ありますが、今後はさらに優遇措置が拡充されていくことでしょう。
こうした補助金制度や税制優遇などの恩恵を受けるためにも、投資用物件としてZEHを検討するのは大いに「アリ」だと考えられます。
不動産投資は長期間にわたって行う投資です。
そのため、今後よりいっそうZEHの普及が進むことを考えれば、今からZEH基準を満たした物件を検討するのも手段のひとつでしょう。
ただし、現時点ではZEH住宅だからといって売却価格が大きく上昇するわけではありません。
もし、短期売買や中古物件への投資を目的としているのであれば、必ずしもZEHにこだわる必要はないと言えます。
また、ZEH住宅の物件価格は一般的な住宅よりも高くなっていますが、今後ZEHの普及が進めば、その差もある程度埋まってくることが想定されます。
ZEH住宅を建てるに越したことはないですが、導入のタイミングには慎重な見極めが大切です。