不動産投資の成否を分ける重要な鍵である「収益物件」。
しかし、収益物件の特性に大きく関わる「建築構造」までを深く理解できている方はそう多くないのが事実です。
物件の建築構造を把握し、建築構造ごとの特性を知れば、その収益物件が本当に「理想の不動産投資」に適しているかをスムーズに判断できるようになります。
この記事を読み、
を理解することで、建築構造の観点からも「収益物件の良し悪し」を見極められるようにしましょう。
代表的な建築構造は以下の3つです(RC造とSRC造はまとめて解説します)。
順に特性を見ていきましょう。
柱や梁(はり)といった骨組み部分が木造である建築構造です。
日本では戸建てのほとんどが木造であり、アパートなど3階建て以下の物件も木造であることが一般的です。
建築構造の中では比較的環境負荷が少なく、建築費用も割安になります。
また、木は吸放湿性に優れているため、高温多湿の地域に適しています。
一方で、遮音性や防音性、耐火性や耐震性などは鉄骨造・RC造・SRC造に劣ります。
柱や梁といった骨組み部分を鉄骨や鋼材、それ以外に木材を使用した建築構造で、「S造」と表記されることもあります。
木造と、後述するRC造のちょうど中間に位置する建築構造であると言えます。
使用される鉄骨の厚みによって、
に区分され、重量鉄骨造はマンションなどの大型の建物、軽量鉄骨造はアパートや小規模店舗などに用いられます。
RC造は「鉄筋コンクリート造」、SRC造は「鉄骨鉄筋コンクリート造」の略称です。
鉄筋コンクリートとは、組み上げた枠型に鉄筋を配置して、そこにコンクリートを流し込んで造る工法のことです。
という異なる特性を持つ素材を組み合わせることで、変形しにくく耐久性が高い建物を建築することができます。
RC造(鉄筋コンクリート造)は、建物の骨組み部分に鉄筋コンクリートを使用したもの。
SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)は、骨組み部分に鉄筋コンクリートを使用し、さらに中心箇所に鉄骨を使用して、RC造の耐久性に鉄骨造のしなやかさを加えた建築構造となります。
耐久性や耐震性、遮音性などが最も優れており、高層マンションやビルなどの高階層物件、複合商業施設などに使用されることが一般的です。
続いて、建築構造ごとにメリット・デメリットを見ていきましょう。
木造のメリットは、大きく以下の4つです。
一方で、以下のデメリットが考えられます。
特に集合住宅では遮音性の低さが入居者から敬遠されがちなので、壁の間に防音材を詰めて対処することもあります。
続いて、鉄骨造のメリットとデメリットを見ていきましょう。
まずはメリットからです。
鉄骨造のデメリットは以下の2点です。
物件の耐用年数は建築構造や用途ごとに異なりますが、鉄骨造の場合は、鉄骨の厚さによって3種類に細かく分類されています。
軽量鉄骨造の場合、厚さ3mm以下の鉄骨が用いられているケースが多いので、法定耐用年数にご注意ください。
▼鉄骨造の法定耐用年数(店舗用・住宅用)
鉄骨の厚さ | 法定耐用年数 |
---|---|
4mm以上 | 34年 |
3〜4mm | 27年 |
3mm未満 | 19年 |
最後に、RC造・SRC造のメリットとデメリットを見ていきましょう。
RC造・SRC造のメリットは以下のとおりです。
一方で、以下のデメリットも存在します。
RC造・SRC造は物件の機能面で優れていますが、使用する鋼材のコストなどが高額になるため、どうしても物件価格が高くなってしまいます。
そのぶん家賃も高く設定できますが、そもそもの物件価格が高いため利回りは低くなる傾向にあります。
また「多少家賃が高くても快適に暮らしたい」という層からは高い人気が期待できますが、「家賃の安さを重視する」という層には歓迎されないことが想定されます。
建築構造ごとの特性やメリット・デメリットへの知識は、不動産投資においても大いに役立てることができます。
そのエリアに住む人が、物件に何を求めているのか。
どんな物件であれば高い賃貸需要が期待できるのか。
また、「できる限り節税効果を高めたい」「長期にわたって安定した家賃収入を得続けたい」のように、「何を目的として不動産投資をするのか」によっても選ぶべき建築構造が変わってきます。
建築構造を深く理解し、不動産投資を成功に導いていきましょう。