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経済

インバウンド需要が回復すると不動産投資市場はどう動く?今後の展望を予測

2023年7月28日 金曜日

「訪日外国人が日本国内で生み出す“商品やサービスへの需要”」を意味するインバウンド需要。
一時期、外国人観光客が日本の家電量販店や薬局などで「爆買い」する様子がたびたびニュースで取り上げられましたが、あれもインバウンド需要のひとつです。

インバウンド需要が高まると観光業や小売業などが潤い、国内の景気向上につながるのですが、実は、不動産投資にも大きな影響を与えることをご存知でしょうか。

この記事では、コロナ禍で大きく落ち込んだインバウンド需要が復調の兆しを見せる今、その回復が不動産投資市場にどのような影響を及ぼすかを解説します。

まずは現在(2023年4月時点)の入国制限とインバウンド需要について見てみましょう。

2023年5月に入国制限完全解除へ

2019年末に中国で初の感染例が報告されて以降、わずか数ヶ月のうちに世界的大流行(パンデミック)を巻き起こした「新型コロナウイルス感染症(COVID‑19)」。
国内での感染拡大を防ぐべく、一時期は海外からの入国をほとんど完全に禁止するなど、日本では厳しい入国制限が行われてきました。

これにより、日本への渡航者数はコロナ前に比べて激減します。
第二次安倍内閣が主導した政策によって2012年以降は訪日外国人旅行者の数が爆発的に増え、2012年(836万人)から2019年(3,188万人)の7年間で約4倍にまで膨れ上がっていましたが、2020年には412万人にまで減少。
2021年には年間わずか25万人にまで落ち込みました。
参考:訪日外国人旅行者数・出国日本人数 | 統計情報 | 統計情報・白書 | 観光庁

2022年10月になって、ようやく日本でも入国制限が緩和され、

  • ワクチンの接種証明書(3回)
  • 出国前72時間以内に受けた検査の陰性証明書

のどちらかを提出すれば、原則として入国時検査や入国後の待機期間などをパスできるようになりました。

入国制限が緩和されたことによって、訪日外国人旅行者数は大幅な回復を見せています。
日本政府観光局JNTOの調査によると、2022年7~9月の訪日観光客数は月間3~4万人台に留まっていたのに対し、入国制限が緩和された10月には約32万人にまで急増。
11月には約77万人、12月には約125万人の観光客が日本を訪れ、閑古鳥が鳴いていた観光地にも徐々に賑わいが戻りつつあります。

政府は、過去最高の訪日人数を記録した2019年(年間3,188万人)の記録を2025年に超えることを目標としていますが、ここ最近の円安も影響し、訪日者数は予想を超える勢いでV字回復を見せています。

2023年5月8日には新型コロナウイルスの感染法上の分類を「5類(季節性インフルエンザと同じ)」に引き下げることが決定しており、これに伴って、新型コロナウイルス感染症にかかる水際措置も終了となります。
これによってさらに訪日外国人が増えてインバウンド需要が高まり、国内景気回復の一助となることが期待されています。

インバウンド需要回復は不動産投資にどう影響する?

「インバウンド需要が高まったとしても、影響があるのは主に観光業やホテル業では?」
と思うかもしれませんが、インバウンド需要の回復は国内不動産投資――とりわけ東京都内の不動産投資にも大きく影響することが予測されます。

具体的には、以下のような影響が出ると考えられます。

  • インバウンド需要が高いエリアの地価・賃料の上昇
  • 物件価格の上昇
  • インバウンド需要が高いエリア周辺の賃貸需要増
  • 海外投資家によるインバウンド投資の拡大

インバウンド需要が高いエリアの地価・賃料の上昇

訪日外国人旅行者に好まれる浅草や京都、原宿などの観光地は、コロナ前の盛り上がりを取り戻していくものと想定されます。

これによってエリアが活性化し、新しい商業施設がこぞってオープンすることで、インバウンド需要が高いエリアの地価が上昇することが考えられます。
これに伴い、周辺の賃貸物件の賃料も上昇していくことでしょう。

物件価格の上昇

インバウンド需要の回復を見越して、日本国内では「ブルガリホテル東京」や「OMO3東京赤坂 by 星野リゾート」など、ホテルの開業が相次いでいます。
ホテル用地はマンション用地と競合することもあるため、ホテル業界の活性化によって用地の需要が高まると、比例して物件価格も上昇していくことが予測されます。

加えて、水際対策の緩和・撤廃や円安によってインバウンド投資も拡大傾向にあるため、物件の取得競争が激化し、さらに物件価格が上昇する可能性も考えられます。

インバウンド需要が高いエリア周辺の賃貸需要増

インバウンド需要の高まりによってエリアが活性化すると、新しい飲食店や商業施設がオープンし、そこで働くために人々が集まってくるため、周辺エリアの賃貸需要が上昇することが期待されます。

海外投資家によるインバウンド投資の拡大

CBREが発表した『JAPAN投資家意識調査2022』によると、「アジア太平洋地域の魅力的な都市(海外投資家の回答結果)」ランキングでは東京が3年連続で1位を獲得。
同ランキングの8位には「日本の地方都市」、10位には大阪がランクインするなど、TOP10のうち3つを日本国内の都市が占めており、日本の不動産に対する海外投資家の興味関心の高さが伺える結果となっています。

コロナ禍においてもインバウンド投資は活発に行われてきましたが、入国制限が緩和・撤廃され、物件を確認しに現地へ赴くハードルが下がったことで、よりいっそうインバウンド投資が拡大していくことが予測されます。

まとめ

インバウンド需要が不動産投資にも大きな影響を与えることがお分かりいただけましたでしょうか。

インバウンド需要が回復することによって不動産投資市場が活性化したり、観光地周辺が賑わうことで収益物件の資産価値や賃料が上昇するのは喜ばしいことですが、競争が激化することで物件価格が高騰してしまう恐れもあります。
今、魅力的な物件に出会って悩んでいるという方は、今後インバウンド需要が高まっていくであろうことも考慮しつつ検討を進められるといいですね。