新型コロナウイルスの感染拡大を受け、世界は大きく様変わりしました。
街をいく人々の多くはマスクをつけ、至る場所にアルコール消毒液が設置され、これまで聞き馴染みのなかった「ソーシャルディスタンス」という言葉が一般化しました。
新型コロナウイルスは、人の流れにも強い影響を与えました。
これまで政府がいくら苦慮したところで解消できずにいた「東京への一極集中」に変化の兆しが見られたのです。
この記事では、総務省が発表している数値を元に、
を解説します。
2019年末に突如として始まった、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)。
日本でも2020年初頭から爆発的に感染が拡大し、
などの影響を受けて、東京都の転入超過数(※)が激減しました。
※転入超過数:「転入者数 − 転出者数」を計算したもの。プラスの場合は転入超過、マイナスの場合は転出超過となる。
総務省統計局が公表している『住民基本台帳人口移動報告 2022年(令和4年)結果』によると、2020年の転入超過数は3万1,125人にまで減少。
比較可能な2014〜2019年までは年間おおよそ7〜8万人ペースで推移していましたが、突如として転入超過数が半減する事態となりました。
2021年にはさらにこの傾向が加速し、転入超過数は年間わずか5,433人と、2014年以降で過去最低数を記録。
長らく安定した転入超過が続いていた東京23区でも約1.5万人もの転出超過となり、メディアは盛んに“東京離れ”を報じました。
「このまま“東京離れ”が進めば都内不動産投資のうま味が薄れてしまうのではないか」
と危ぶむ声も多く聞かれましたが、2022年の転入超過数は3万8,023人にまで大幅に回復。
転入超過数の減少が続いた2020年、2021年から一転し、3年ぶりに拡大傾向へと転じました。
2023年に入ってからもこの回復傾向は続いており、
と、前年同月比でおよそ500〜600%の高水準で転入超過数が拡大しています。
2022年に入り、パンデミック発生当初のような混乱がひと段落したことで再び東京都心部の求心力が高まったものと見られます。
東京都単体のみならず、東京圏(東京、神奈川、埼玉、千葉)への転入超過数も増加傾向にあります。
東京圏における2022年の年間転入超過数は9万9,519人(前年比:1万7,820人)。
市町村別で見ると、東京都特別区部への転入超過数がもっとも多く、次いでさいたま市、横浜市、千葉市と各都県の中心地に人が集まる傾向が見られます。
転入超過数を年齢別に見ると、0〜14歳は埼玉県さいたま市、15〜64歳は東京都特別区部に集中しており、乳幼児〜学齢期の子供を抱えた層はさいたま市、青年期〜働き盛りの層は東京都特別区部に集まっていることが伺えます。
一方、名古屋圏(愛知、岐阜、三重)と大阪圏(大阪、京都、兵庫、奈良)はどちらも転出超過となり、人口の流出が続いています。
名古屋圏では1万6,218人、大阪圏では2,347人の転出超過となっており、東京圏、とりわけ東京都への人口一極化は今後も進んでいくものと考えられます。
東京23区が転出超過に転じるなど、一時期は“東京離れ”の気運が見られましたが、コロナへの危機感や行動制限などが緩和されるやいなや東京に再び人が戻ってきています。
ビジネスや学び、文化の中心地である東京の人気は極めて高く、東京への人口集中は今後も続くものと考えられます。
未曾有の逆境もあっという間に跳ね返し、安定的に人口増が続く街・東京で、空室とは無縁の不動産投資を行いましょう。