不動産投資は何歳からでも始めることができ、年齢に制限はありません。
しかし、
ことを考慮しなければ、ローンの条件が不利になったり、不動産投資の土台ともいうべき「目的」が迷走してしまう恐れがあります。
年齢ごとに適した不動産投資を始めるために、ぜひこの記事をお役立てください。
LIFULL HOME’Sの調査によると、不動産賃貸物件オーナーの年齢構成は、
となっており、実に86.4%の人が30~50代の働き盛り世代となっています。
20代は2.5%、60代以上は11.1%となっており、どちらもボリュームとしては少ないものの、若年層よりも、ある程度年齢が高い層のほうが不動産投資に取り組んでいる率が高いと言えます。
また、同調査では不動産賃貸物件オーナーの職業についても調べていますが、全体の1/4近くにあたる24%が「会社員(一般社員)」となっています。
続いて「会社員(管理職)」が19%、「会社経営者・役員」が16%となっており、過半数の59%が会社勤め、あるいは経営に携わる傍ら不動産投資を行っていることが分かっています。
かつては「一部の限られたお金持ちがやるもの」「時間に余裕のある資産家がやるもの」との認識を持たれていた不動産投資ですが、実は30~50代の働き盛りがもっとも多く、その過半数は会社員の「サラリーマン大家さん」であることが同調査にて判明しました。
不動産投資の間口が広まったことや、投資の必要性が周知されたことで、比較的若い世代でも不動産オーナーとなる人が増えていることが伺えます。
前述の調査ではボリュームゾーンの一角を占めていた「50代(28.4%)」。
年収や職歴が安定し、子育ても一段落して、まだまだ気力も充実しているパワフルな年代ではありますが、不動産投資を始めるにあたってはいくつか注意が必要となります。
ローン商品には「完済時年齢」が設定されており、その年齢までに完済できるよう返済期間を設定する必要があります。
多くのローン商品では完済時年齢が80歳未満に設定されているため、46歳以降は35年ローンなどの長期ローンを組むことが難しくなってしまいます。
50歳以降の場合、返済期間は30年未満と短くなるため、
などの懸念が生じます。
団信(団体信用生命保険)とは、不動産投資ローンや住宅ローンに付随する保険サービスで、ローン返済中に名義人に万が一のことがあった場合に、その時点での残債(ローン残高)を生命保険会社が肩代わりしてくれるというものです。
この団信も完済時年齢が80歳未満となっていることが一般的なので、仮に55歳で団信に加入した場合、24年しかその恩恵を受けられなくなってしまいます。
加えて、団信に加入するためには健康状態や病歴を正しく告知したうえで、生命保険会社による審査に通過しなければなりません。
50代以降は健康リスクも上昇するため、健康状態を理由に団信への加入を断られてしまうリスクも考えられます。
また、団信には「死亡・高度障害状態」のみを保障対象とする「一般団信」と、がんや急性心筋梗塞、慢性腎臓病などの疾病を患った場合にも保障される「特約付団信」がありますが、これの加入にはより厳しい審査や条件をクリアする必要があります。
一例として、メガバンクが取り扱う「8大疾病保障特約付団信」は満56歳未満が加入条件となっており、46歳以降では、加入はできるものの付帯できる特約の種類に制限が生じます。
不動産投資にかぎらず、すべての投資を始めるうえで「投資運用の目的・目標」を明確にしておくことは極めて重要です。
この目的や目標は年齢によって異なることが想定されるため、各年齢ごとの「不動産投資への向き合い方」を考えておきましょう。
30代が持つ最大の武器は「時間」です。
ローンの組み方によっては定年前に完済できる可能性も高く、収入が安定しているうちに返済を終えられるということは大きなメリットとなります。
この年代は将来の不確定要素が多く、選択肢も多いため、「投資運用の目的」はじっくり考える必要があります。
など、「どのような目的で」、「どれくらいの金額を」、「いつまでに」資産形成するのかを明確にしておくといいでしょう。
40代は、年収や職歴といった本人属性の高さと、返済期間の長さのバランスがもっとも安定した年代であると言えるでしょう。
また、この年代になると結婚やマイホーム購入をすでに済ませている人も増えてくるので、将来のことをイメージしやすく、より具体的な目的や目標を設定しやすい傾向にあります。
50代になるとより本人属性は高くなりますが、前述したとおり、返済期間の短さや団信加入時の制限などが生じてきます。
また、50代後半になると「役職定年(管理職などの役職についている社員が、定年年齢を迎える前に先んじて役職から離れる制度のこと)」を迎える人も出てきます。
役職定年を迎えると収入が減少するため、ローン返済時のシミュレーションを組む際にはこうした変化も考慮するといいでしょう。
50代にもなると子育ても一段落していることが多く、不動産投資の目的を「老後の資産形成」の一本に絞りやすくなります。
また、現在の資産状況を鑑みて老後に必要な資産を算出できるため、より具体的で現実的な目標を立てやすいというメリットもあります。
20代には若さという唯一無二の武器がありますが、年収や職歴が安定していないことからローン審査のハードルが高くなりがちです。
また、十分な自己資金もまだ蓄えられていないため、無理をして現物不動産投資に臨むというよりは、
などの準備期間と捉えるといいでしょう。
60代になると、50代以上にローンや団信加入が厳しくなるため、自己資金のみで不動産を購入することが増えてきます。
退職金で不動産を一括購入し、安定した家賃収入を得られるようになるとベストですね。
とはいえ、住宅ローンとは異なり、不動産投資ローンは本人属性以外に「物件の収益性」も考慮して審査されるため、60代以上でもローンを組める可能性はあります。
定年退職によってできた「時間の余裕」を武器に、物件の情報収集に励み、収益性の高い物件を見つけ出すことも、60代だからこそできる不動産投資戦略と言えます。
働き盛りのサラリーマン大家さんが増えている昨今。
仕事の傍ら、早いうちから不動産投資に取り組み、定年前にローンを返済してしまえば、より安定した老後の心強い味方となってくれることでしょう。
もちろん、40代・50代で不動産投資家デビューを果たす方も決して少なくはありません。
各年齢に適した「不動産投資との向き合い方」を見定め、目的・目標を明らかにしたうえで臨むことで、最高の投資家デビューを飾りましょう。