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不動産

5棟10室基準とは?基準を満たすメリット・デメリットも解説

2025年5月2日 金曜日

不動産投資について学んでいると、5棟10室基準という言葉を耳にすることがあります。

積極的に不動産投資を行う人の中では、これのクリアが一つのマイルストーンともされている「5棟10室基準」。この記事では、そんな5棟10室基準について解説します。

5棟10室基準とは

5棟10室基準とは、「不動産貸付の規模を『事業』とするか『業務』とするかを判断する形式基準」のことです。

国税庁のホームページでは、この基準ついて以下のように説明されています。

(1) 貸間、アパート等については、貸与することのできる独立した室数がおおむね10室以上であること。
(2) 独立家屋の貸付けについては、おおむね5棟以上であること。

ーー引用:No.1373 事業としての不動産貸付けとそれ以外の不動産貸付けとの区分|国税庁

「5棟10室基準」とは明記されていませんが、この説明内の「室数がおおむね10室以上」と「独立家屋(中略)は、おおむね5棟以上」という文言から「5棟10室基準」と呼ばれるようになりました。
この基準を満たしている場合は、不動産の貸付が「業務」ではなく、より規模の大きい「事業」であると判断されます。

とはいえ、5棟10室基準はあくまで目安であり、最終的な判断は貸付の実態に基づいて行われます。
不動産所得が多額であったり、不動産所得が生活におけるメイン資本となっているなどの場合は、5棟10室基準を満たさなくても「事業」的規模であると認定されることがあります。
逆に、5棟10室基準を満たしていたとしても、事業の実態がないなどの場合には「事業」と見なされないこともあります。

5棟10室基準を満たすメリット

それでは、5棟10室基準を満たし、不動産投資が「事業」であると判断されるとどんなメリットがあるのでしょうか。
5棟10室基準を満たす主なメリットは以下の4つです。

  • 最高65万円の青色申告特別控除が受けられる
  • 事業専従者給与・事業専従者控除が受けられる
  • 貸倒損失を必要経費に算入しやすい
  • 資産損失を全額必要経費に算入できる

事業的規模ではない場合、特別控除は最高10万円となりますので、青色申告を活用することで最高65万円もの特別控除を受けられることは大きなメリットとなります。

また、貸倒損失や資産損失の経費算入にも注目です。

貸倒損失(賃料などの回収不能によるもの)が出た場合、事業的規模であれば未回収分を損失として計上することができます。しかし、事業的規模でない場合は、未回収分が関わる各年度分の修正申告をすることで還付を受ける形となり、手続きが非常に煩雑となります。

災害などによって取り壊し、除却となった場合の資産損失についても、事業的規模であれば全額を必要経費に算入することができ、その年の所得から引き切れない場合には3年間の繰越が可能となります。しかし、事業的規模でない場合は損失を被った年にしか計上できないため、所得から引き切れない分は打ち切りとなってしまいます。

5棟10室基準を満たすデメリット

一方で、5棟10室基準を満たす(事業的規模と認められる)ことでデメリットが生じる可能性もあります。

  • 所得税や住民税が高額になる
  • 個人事業税が発生する場合がある

所得税や住民税は、所得が増えるほど税額が増えます。所得税に関しては、一定額を超えると税率自体が上がり、一気に税額が高くなることもあります。
不動産の貸付が「事業的規模」と判断されるということは、やはりそれなりに不動産所得も多いはずですから、所得税・住民税はその分高額になることでしょう。

また、事業規模が大きくなって不動産所得が増えると「個人事業税」が課税される場合もあるため注意が必要です。

まとめ

本腰を入れて不動産投資を行う人にとって、一つの目標ともなる「5棟10室基準」。
不動産投資を始めたばかりの人にとっては遠い夢のように思えるかもしれませんが、一戸目の運用が安定してきたらその利益をもって二戸目を、二戸目の運用が安定してきたら今度はその利益をもって三戸目を……といったように、適切なタイミングで買い増しを続けていくと、気付けば5棟10室基準のクリアが目前に迫っていることでしょう。

複数の不動産を貸付していると、所得が増えることはもちろん、万が一の時のリスク分散にもなります。
より大規模で安定した不動産投資をご希望する方は、5棟10室基準のクリアを目標に掲げてみてはいかがでしょうか。