「人流データ」という言葉をご存知でしょうか?
まだあまり耳馴染みのない言葉かもしれませんが、すでに不動産や観光業界などではその利活用が進んでおり、今後は不動産投資市場においても重要となるであろうデータです。
そんな「人流データ」を不動産投資用に分析してくれるサービスが登場しました。
2022年4月、日本国内では初となる「不動産投資用“人流データ”分析サービス」がスタートしました。
サービスを開発したのは、株式会社アクティブリテックとクロスロケーションズ株式会社。
この画期的なサービスは、アクティブリテック社が持つ「不動産ファンド業界における知見」と、クロスロケーションズ社のシステム・技術が合わさることで誕生しました。
メインターゲットは日本の不動産ファンドを予定しており、同月よりセールス活動を開始しています。
オルタナティブデータ(※)のひとつである「人流データ」は、土地・不動産やまちづくり、観光といったさまざまな分野で活用されています。
特徴的な例を挙げると、コロナ禍における都市や施設の人出の変化を数値によって「見える化」しているのも人流データの活用形のひとつです。
※オルタナティブデータ:財務情報や決算開示など「投資判断のために伝統的に用いられてきたデータ」以外のデータ群の総称
人流データを含め、オルタナティブデータを投資判断の指標とする傾向は年々高まっており、その利用が進むアメリカにおいてはオルタナティブデータの市場が2,000億円を超える巨大市場へと急成長しています。
日本でもオルタナティブデータを投資に取り入れる動きが活発化しており、すでにJ-REIT(不動産投資信託)においてはデータの活用が進められています。
今回登場した不動産投資用人流データ分析サービスでは、対象となる建物や敷地単位、およびその周辺環境の人流データを推計・把握することができます。
また、その属性情報を統計分析することもでき、データはレポート形式にまとめて提出されます。
今後、こうしたデータは、不動産ファンドが物件を取得する際のデューディリジェンスや、保有物件の調査などで広く利活用されると想定されています。
今回登場した人流データ分析サービスは、メインターゲットを不動産ファンドとしているため、投資家個人がサービスを利用する機会はそうないでしょう。
しかし、その分析結果が投資家に向けて公開される可能性は大いにあり得ます。
つまり、私たち不動産投資家一人ひとりが、人流データを投資判断に取り入れる日もそう遠くないと考えられるのです。
人流データを活用すれば、
などを把握することができ、物件の想定ターゲットと実際の属性が一致しているかどうかなどを確認することが可能になります。
こうしたデータを元にすれば、物件への投資判断はもちろん、入居者確保に向けたターゲットの再設定などもより一層スムーズに行うことができるでしょう。
金融市場に比べ、投資判断に活用できる伝統的なデータ(決算開示など)が少ない不動産投資市場。
そのぶん、伝統的なデータ以外を指す「オルタナティブデータ」にかける期待は高く、なかでも人々の実際の動きを見える化できる「人流データ」は、今後、不動産投資の重要指標となっていくのではないでしょうか。
こうした新しいデータを積極的に活用し、より安定した運用を行っていきましょう。