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税金

確定申告前に必見!不動産投資の経費はどこまで認められる?

2023年11月2日 木曜日

不動産投資を始めたばかりの人にとって大きな壁となる「確定申告」。
確定申告では、経費を漏れなく計上することが極めて重要となります。経費をきちんと計上すればするほど所得が圧縮され、所得にかかる税金(所得税・住民税)を少なくできるためです。

この記事では、確定申告に不慣れな方でも漏れなく経費計上ができるよう、

  • 不動産投資で経費にできるものの例
  • 不動産投資で経費にできないものの例

を分かりやすくご紹介していきます。

不動産投資で経費にできるものの例

不動産投資で経費にできるものは、主に以下の16種類です。

  • 不動産投資ローンの金利・保証料
  • 保険料
  • 管理委託料
  • 仲介手数料・広告宣伝費
  • 管理費・修繕積立金
  • 修繕費
  • 減価償却費
  • 不動産投資にかかる税金
  • 税理士などへの報酬(顧問料)
  • 青色事業専従者給与
  • 旅費・交通費
  • 自動車にかかる費用
  • 通信費
  • 交際費
  • 不動産投資の勉強に関する費用
  • その他消耗品の購入費用

これら全てを漏れなく計上できているかどうかで、支払う税金に大きな差が生じる可能性があります。
それぞれについて、順に見ていきましょう。

不動産投資ローンの金利・保証料

不動産投資ローンを利用している場合、金利と保証料(保証会社に支払う費用)は経費として認められます
元本部分は「借金を返しているだけ」ですので経費には含むことができません。

ただし、土地部分の金利は損益通算できませんので、不動産所得が赤字の場合は土地部分の金利を赤字から差し引く必要があります。

保険料

不動産投資をするにあたって、

  • 火災保険
  • 地震保険
  • 孤独死保険
  • 家主保険

などの保険に入っている場合、それらの保険料も経費として計上することができます

数年分の保険料を一括払いしている場合は、支払った額を契約年数で割り返して1年分の保険料を算出し、その年の経費とします。

管理委託料

入居者募集や家賃回収、クレーム対応といった入居者対応を管理会社に委託している場合は、管理委託料も経費として申請することができます。

仲介手数料・広告宣伝費

不動産会社の仲介によって入居者が決まった時に支払う仲介手数料も経費として認められます。
広告宣伝費(AD)は毎月必ず発生するとは限りませんが、入居付けの条件としてADが設定されている場合はそちらも経費の対象となります。

なお、物件を購入する際にも仲介手数料を支払いますが、こちらは物件取得にかかった費用として「取得価額」に含められ、減価償却費として計上します。

管理費・修繕積立金

日々の清掃やメンテナンスなど、物件の維持管理にかかる管理費や、大規模修繕に向けた修繕積立金も経費として認められます。

修繕費

付属設備の修理や退去時の原状回復にかかった費用などは、修繕費として経費計上できます。

ただし、修繕費は「少額または周期の短い費用」と定義されているため、

  • 1回の支払いが20万円を超えるもの
  • 一般的に3年を超える周期で行われるもの
  • その修繕によって価値や機能、使用可能期間が向上するもの

などは修繕費ではなく「資本的支出」となり、減価償却することが一般的です。

減価償却費

減価償却とは、「業務上、高額かつ何年にもわたって使える資産の取得価額を、何年かに分けて費用計上していこうという会計上のルール」のことで、計上する費用を「減価償却費」と言います。
不動産の場合、老朽化がない土地部分は減価償却の対象外となり、建物部分のみ減価償却していくこととなります。

減価償却費は「実際には支出がないが、経費として計上できる費用」であり、金額が大きいため節税効果を生みやすい(所得の圧縮効果が高い)重要項目です。

不動産投資にかかる税金

不動産投資に関連する税金も、経費として認められます。
具体的に、どのような税金が対象となるのか見てみましょう。

▼不動産を保有している限り毎年発生する税金

  • 固定資産税
  • 都市計画税

▼物件を購入した年に発生する税金

  • 不動産取得税
  • 登録免許税
  • 印紙税

▼状況によって発生する税金

  • 自動車税、重量税(不動産投資に使っている部分のみ)
  • 法人事業税
  • 利子税

一方で、以下の税金は経費として認められませんのでご注意ください。

  • 所得税
  • 住民税
  • 法人税

税理士などへの報酬(顧問料)

税理士に確定申告を依頼したり、司法書士に登記を依頼したりした場合の報酬(顧問料)も経費として申請することができます。

青色事業専従者給与

青色申告者であり家族の給与を支払っている場合には、支払った給与を経費として申請することができます。

青色事業専従者給与には金額の制限が設けられていませんが、あまりに金額が大きいと税務調査の対象となる恐れがあります。
個人の不動産賃貸業では、おおよそ月8〜10万円程度が妥当とされています。

青色申告について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください!

旅費・交通費

物件を選定するための現地訪問や、不動産会社・金融機関などに出向く際に使用した費用は、旅費交通費として経費計上することができます。
公共交通機関では領収書がもらえないので、日付・行き先・目的などを記録した精算書を作成しておきましょう。

自動車にかかる費用

不動産投資に自動車を使用している場合、

  • 車両の購入代金
  • 車検などのメンテナンス費用
  • 自動車税
  • 保険料
  • レッカー代金

などを経費として申請することができます。
自家用車としても使用している場合は家事按分をして、不動産投資にかけた部分のみを経費として申請します。

通信費

不動産投資にかかる通信費も経費として認められます。
月々の通信費はもちろん、スマホやPC本体や、アプリなどの購入代金も通信費として申請することができます。

自動車と同様、プライベートでも共用している場合は家事按分をする必要があります。

交際費

不動産会社や管理会社との打ち合わせをかねた食事や、投資家仲間との情報交換を目的とした会合、新規入居者にプレゼントしたギフト券など、不動産投資に関係する交際費であれば経費として認められます。
不動産投資に関わりのない家族や友人、一人での食事は対象となりませんのでご注意ください。

不動産投資の勉強に関する費用

不動産投資について書かれた書籍や新聞の購入、セミナーへの参加費用なども経費申請が可能です。
ただし、宅建士やマンション経営管理士といった不動産関連の資格であっても、資格取得のための授業料や試験料などは「個人のスキルアップとなるもの」と判断されるため経費には含めることができません

その他消耗品の購入費用

ノートやボールペンといった事務用品も、不動産投資のためだけに使うのであれば経費として認められます。
確定申告前に慌てないよう、日頃から領収書を整理する癖をつけておくといいですね。

不動産投資で経費にできないものの例

一方で、以下のものは不動産投資の経費としては認められません。

  • 不動産投資に関係ないもの
  • 住民税・所得税
  • ファッション性の強いアイテム(スーツや腕時計など)
  • ジムなどの会費
  • スピード違反・駐車違反などの反則金・罰金
  • 資格の取得費用
  • 青色申告者以外が家族に支払う給与

注意したいのは「ファッション性の強いアイテム(スーツや腕時計など)」です。
たとえ「不動産会社や金融機関に出向く際にのみ着用する」という名目があったとしても、スーツや腕時計、ビジネスバッグなどはプライベートでも使用できるファッションアイテムと見なされるため、経費としては認められないことが一般的です。

認められないものを経費として申請していると、最悪の場合、脱税と見なされてペナルティを課せられることもあります。
漏れなく経費計上することはもちろん大切ですが、どこまでが経費として認められる範囲かを確認しつつ、正しい範囲で経費計上するようにしましょう。