一般的に、「高齢者は賃貸物件を借りにくい」と言われています。
日々の労働から開放され、気楽な年金暮らしを満喫しようと考えていたにも関わらず、肝心の家を見つけることができなかったら……。
悠々自適なシニアライフからは程遠い生活になってしまいます。
そんな事態を避けるべく、この記事では、
について解説しています。
日本賃貸住宅管理協会が家賃債務保証会社に対して行ったアンケート調査によると、「審査落ちが散見」「審査落ちが多い」との回答は60代・70代がもっとも多く、両年代ともに35.8%が「家賃保証の審査に通りにくい=賃貸物件が借りにくい」と回答していることが分かりました。
働き盛りである30~50代の「審査落ちが散見」「審査落ちが多い」との回答は10~20%台前半に留まっていることを考えると、定年退職を迎える60代以降は賃貸物件が顕著に借りにくくなっていると言えるでしょう。
60代以降の高齢者が賃貸物件を借りにくくなる理由は、大きく以下の3つです。
高齢者が賃貸物件を借りにくいもっとも大きな理由のひとつが「金銭面での不安」です。
とりわけ、定年退職して収入が年金のみの人の場合、家賃の支払い能力が不安視されて貸し渋りが起こる傾向にあります。
家賃の支払いが滞った場合、物件のオーナーは未払いの家賃の回収を試みますが、収入が年収しかない(収入増が期待できない)人から未払いの家賃を回収することは極めて困難であるためです。
家賃を支払うために十分な額の資産を保有している場合は別として、「収入が年金のみ」の高齢者は対策が必要です。
高齢になるにつれて、健康面での不安が高まることも審査に大きく影響します。
とりわけ、高齢者が単身で入居している場合、入居者の不調や急変に周囲が気付きづらく、「孤独死」につながってしまうリスクが高まります。
万が一高齢者が室内で亡くなってしまうと、事故物件扱いとなって入居希望者が寄り付かなくなる恐れがあります。
遺体の発見に時間がかかってしまった場合、遺体の腐敗によって物件に大きな損傷を与えたり、異臭やハエが生じて周辺住民に迷惑をかけたりしてしまう可能性もあります。
そうなると、物件の回復作業や遺品整理のためにお金がかかるうえ、次の入居者も見つけづらくなることで家賃収入が途切れるために、高齢者の入居を嫌がるオーナーも多いのです。
一般的に、賃貸物件を借りるには「連帯保証人」を立てることが求められます。
ほとんどの場合、連帯保証人には家族や親族があてられますが、高齢者は家族や親族と死別していたり、関係性が希薄になってしまっていることも多く、連帯保証人を立てづらいケースが散見されます。
連帯保証人を代行してくれる「家賃債務保証会社」を利用するという手もありますが、前述したとおり、60代以降の高齢者は家賃債務保証会社の審査に通りづらい傾向にあります。
家賃債務保証会社の審査には「支払い能力の有無」が大きく関わるため、定年退職によって収入が落ち込む60代以降に対して審査ハードルが高くなってしまうのです。
かといって、すべての高齢者が賃貸物件を借りにくいというわけではありません。
いくつかのポイントを押さえておけば、高齢であっても賃貸物件に住むことが可能です。
具体的なポイントは以下の4つです。
十分な額がある預金通帳のコピーや、健康診断結果などのコピーを提示し、家賃の支払い能力や健康に懸念がないことをアピールしましょう。
一般的に、おおよそ家賃2年分の預金があれば、オーナーにも好印象を持ってもらえると言われています。
親族が連帯保証人になってくれると家賃を回収できないリスクが減るため、高齢者であっても賃貸物件を借りやすくなります。
かつ、親族の近くに住んでいれば孤独死のリスクも抑えられるため、協力してくれる親族が住むエリアの近くで賃貸物件を探すといいでしょう。
高齢者の入居を積極的に受け入れている「シニア相談可」の物件を選ぶことも手段のひとつです。
シニア相談可の物件は、バリアフリー面が強化されていたり、安否確認や生活相談といった見守りサービスが提供されていることも多いもの。
そのぶん家賃は高くなる傾向にありますが、高齢者でも入居しやすく、安心して住み続けられるという点でメリットが大きいと言えます。
連帯保証人を立てることが難しい場合、「一般財団法人高齢者住宅財団」が提供している家賃債務保証を利用することもできます。
一般財団法人高齢者住宅財団による家賃債務保証は、60歳以上の人を対象とする居住支援サービスで、高齢者住宅教団が連帯保証人となってくれます。
ここまでは「高齢になっても賃貸物件を借りるための手段」にフォーカスしてきましたが、若いうちに、老後の居住用として「投資用物件」を所有しておくことも大変有効な手段です。
老後の居住用として投資用物件を所有しておくと、
など、さまざまなメリットが得られます。
老後の居住用としての活用はもちろん、老後に向けた蓄財&節税も同時に叶えられるという、まさにとっておきの秘策と言えるでしょう。
高齢になってから投資用物件を購入するためには、金融機関の厳しい審査などをクリアする必要があり、とてもハードルが高いものです。
働き盛りであるうちに投資用物件を購入しておき、家賃収入によって老後資金を蓄えると同時に、もしもの際の居住用として老後の備えを整えておいてはいかがでしょうか。