株式会社PRESTIGE

[お問い合わせ]営業時間/10:00~17:00
tel

Column
コラム
不動産

抵当権と根抵当権の違いって?不動産投資ではどちらを選べばいい?

2023年11月17日 金曜日

不動産投資ローンを組むにあたっては、購入物件を担保とする「抵当権」を設定することが一般的ですが、それとよく似た「根抵当権」という権利も存在します。
根抵当権は抵当権の一部ですが、性質が大きく異なるため、よく理解しないまま根抵当権を選んでしまうと思わぬ落とし穴にハマってしまう恐れがあります。

この記事では、抵当権と根抵当権の違いについて解説します。

抵当権とは

「抵当権」とは、ローンを組む際に債務者(お金を貸す人。金融機関など)が債務者(お金を借りる人)に対し、相応の価値がある目的物を担保とする権利のことです。
不動産投資の場合は、購入する収益物件が担保となることが一般的です。

万が一返済が滞った場合には、債権者は担保となった目的物を差し押さえ、売却したり貸し出したりして得た売却益や賃料を弁済に充てることができます。返済に問題がない限りは債務者の所有物として扱うことができます。
ローン完済後には抵当権が抹消され、正式に抹消するための抹消登記が行われます。

抵当権は「貸したお金が返ってこない」という貸し倒れリスクを軽減し、債権者を守るためのリスクヘッジであると言えます。

根抵当権とは

「根抵当権」とは、担保となる債券の価値をもとに貸出金額の上限額(=極度額)を設定し、その範囲内であれば何度でも繰り返し借入と返済ができる抵当権のことです。

通常の抵当権はローン完済時に抹消され、新たにローンを組む際にはまた別途抵当権を設定しなければなりません。
一方、根抵当権は極度額以内であれば何度でも借入できるため、ローンを組むたびに抵当権を設定する手間や費用を抑えることができます。そのため、根抵当権は「継続的かつ頻繁な取引」を前提とした抵当権であると言えます。

抵当権と根抵当権の違い

改めて、抵当権と根抵当権の違いを見てみましょう。
以下の表をご覧ください。

対象となる債券

抵当権では対象となる債券が明確に決定されていますが、根抵当権では「一定の範囲に属する物」が対象物となります。
「一定の範囲に属する物」は複数に及ぶ場合がありますが、どんな債券でも担保にできるわけではなく、定められた範囲から選択することとなります。

借入できる金額・頻度

抵当権では借入できる金額が明確に定められており、契約時にまとめて借入されます。
根抵当権でも「極度額」という借入上限額が明確に定められていますが、一度で全額借入するのではなく、極度額の範囲内であれば何度でも借入することができます。

返済期限

抵当権では返済期限が明確になっていますが、根抵当権では「元本確定」しない限りは返済期限が設けられません。

元本確定は「期日を定め、その期日の時点でいくら返済する義務があるのか」を明確にする手続きです。元本確定した根抵当権は、普通の抵当権と同じ扱いになります。

連帯債務者

抵当権では連帯債務が認められていますが、根抵当権には「債券を特定せず、極度額の範囲で借入を繰り返す」という特性があるため、根抵当権では原則として連帯債務者を設定することができません。

権利抹消のタイミング

抵当権は完済のタイミングで権利が抹消されますが、根抵当権はたとえ借入元本を全額返済したとしても権利は抹消されません。
根抵当権を抹消するには、元本を完済のうえ、債権者・債務者双方の同意の元抹消手続きを行う必要があります。

不動産投資では抵当権と根抵当権どちらを選ぶべき?

では、不動産投資では抵当権と根抵当権のどちらを選ぶべきなのでしょうか。

継続的かつ頻繁な取引が予測される場合は、取引のたびに抵当権を設定せずに済む(=手間や費用を抑えられる)根抵当権を選ぶといいですが、基本的には普通の抵当権を選ぶといいでしょう。

根抵当権を選ぶ場合、複数の収益物件を債券としてしまうと、どちらか一方を売却したいと思っても根抵当権が残っていたら売却時の手間や難易度が上がってしまいます。
売却物件の査定価格が残債を上回っていれば問題なく売却できますが、残債を下回ってしまうと残りを自己資金で補填しなければならなず、一度に多額の自己資金が必要となる恐れがあるためです。

もし根抵当権を利用するのであれば、複数の収益物件を債券とするのではなく、特定の物件のみを債券とすることをオススメします。