東京臨海部の利便性を著しく向上させる「臨海地域地下鉄構想」が発表され、大きな話題となっています。
この記事では、
について解説します。
2022年11月25日、東京の小池百合子都知事が東京都心と臨海地域を地下鉄で繋ぐ「都心部・臨海地域地下鉄構想」を発表。
「東京駅(仮称)」から「有明・東京ビッグサイト駅(仮称)」まで、およそ6.1kmに渡る新線および7つの駅の設置計画を明らかにしました。開業は2040年頃を予定しています。
参考:<都心部・臨海地域地下鉄構想事業計画検討会>事業計画案
概算事業費は約4,200〜5,100億円。1kmあたりの建設費は約690億〜840億円に達します。
全国各地にある公営地下鉄の建設費が、歴代(1966年度以降)で最も多かった1996〜2000年度開業分でも1kmあたり293億円だったことを思えば、今回の臨海地域地下鉄構想における建設費の高額さに驚かされますが、都は約30年での黒字転換を見込んでいると言います。
臨海地域地下鉄構想では、
などの強みを持つ臨海部をさらに発展させることで、世界からヒトと投資を呼び込み、東京ひいては日本全体の「持続的成長」を牽引させ、国際力を強化していくことを目標としています。
他にも、臨海地域地下鉄構想では、
などを目的として掲げています。
将来的には、
なども検討しており、新線のみならず、周囲を巻き込んだ大規模開発が構想されています。
出典:<都心部・臨海地域地下鉄構想事業計画検討会>事業計画案
臨海地域地下鉄構想では、以下の7つの駅が新設予定となっています。
(以下、本線の駅名はすべて仮称)
日本有数の巨大ターミナル駅である東京駅と新線を繋ぐことによって、周辺路線との乗り換え利便性を向上させることを目的としています。
場所は東京駅・日本橋駅・大手町駅などの周辺が検討されています。
日本一高いオフィスビルとなる「Torch Tower(2027年竣工予定)」など、国家戦略として大規模な再開発が進められている東京駅前・八重洲エリア。
新線が開通することによって、さらなる発展と国際ビジネス拠点としての役割が期待されています。
東銀座駅・有楽町駅周辺には新銀座駅が設置予定となっています。
外国人観光客に人気の観光地である銀座に臨海地域への導線を設けることで、臨海地域周辺におけるインバウンド需要の高まりが予測されます。
現在も一般消費者向けの「築地場外市場」が観光客で賑わう築地エリア。
新たなまちづくりとして構想中の「銀座・築地周辺みどりのプロムナード構想」などとの連携を目指しています。
埋立地部分にタワーマンションが林立しているエリアですが、最寄駅である勝どき駅への乗り入れ路線は都営大江戸線の一本のみ。
新線との乗り換え利便性を高めることで、交通アクセス環境の向上が期待されています。
2020年東京オリンピック・パラリンピックの選手村跡地に建てられた「HARUMI FLAG」ですが、晴海エリアは鉄道空白地帯であるため、現在の最寄駅である勝どき駅までは徒歩20分を要するという課題がありました。
晴海駅が新設されれば、HARUMI FLAG周辺エリアの交通アクセスが大きく改善されることとなります。
築地から市場が移転し、国内外から観光客が訪れるようになった豊洲。
さらなる発展を目指して周辺まちづくりを推進している豊洲エリアでは、まちづくりと連携した新駅の開設を目指しています。
りんかい線の国際展示場駅と、ゆりかもめ線の東京ビッグサイト駅があるエリアにも、新線の駅が開設される予定です。
大きなイベント会場である「東京ビッグサイト」への導線強化によって、さらなる集客を見込んでいます。
臨海地域地下鉄構想が実現すると、まず、新線のルート近辺エリアの物件価格が上昇することが考えられます。
アクセス環境が向上し、利便性が高まることで住環境が整い、賃貸需要が増えることで物件の資産価値も上昇していくことが予測されます。
他エリアは相対的に割安となりますが、新線のルート近辺エリアの値上がりが徐々に波及し、東京23区全体で物件価格が上昇していくと見ていいでしょう。
世界規模で見るとまだまだ割安感がある日本の不動産投資市場には、海外投資家も熱い視線を向けています。
臨海地域地下鉄構想の発表を受けてその熱がさらに高まり、購入争いが激化することで物件価格がどんどん高騰していくことが考えられますので、価格高騰で手が出せなくなる前に「これだ」と思えた収益物件を手に入れられるよう、早めに行動されることをオススメします。