「電子帳簿保存法なんて、きっと自分には関係ない」
もし、そう考えている不動産投資家の方がいたら要注意。
電子帳簿保存法は、実は、不動産投資家にとっても大変重要なものなのです。
その理由は「青色申告」にありました。
不動産投資家の方の中には、青色申告を行っている方もいることでしょう。
青色申告を行うメリットはさまざまありますが、なかでも「青色申告特別控除」の恩恵が大きく、これを目当てに青色申告を行っている方も多いのではないでしょうか。
もともとは65万円の控除が受けられた青色申告特別控除。
しかし、2018年の税制改正によって、2020年分の申告からは控除額が55万円に引き下げられてしまいました。
今後、従来どおり65万円分の控除を受けるためには、
のどちらかが必要になります。
e-Taxを用いて確定申告ができる方であれば問題ないのですが、税務署で相談しながら申告する、といった方は、必要書類などを電子帳簿保存しておかなければなりません。
そのため、これまでのように青色申告特別控除を満額受給するためには「電子帳簿保存法」について正しく知ることが求められるのです。
続いて、「電子帳簿保存法」について学んでいきましょう。
電子帳簿保存法とは、国税関係の帳簿書類を電子データ保存することを認めた法律です。
ペーパーレス化を促進し、納税者や書類保存にかかる負担を軽減することを目的として定められたもので、1998年の制定後、時代や情勢に応じて定期的に改正されています。
▼改正の例
2021年までは「電磁的記録での保存」と「スキャナーによる保存」をするためには、事前に所轄の税務署長の承認を得る必要がありました。
しかし、2022年の改正後には事前承認制が廃止され、届出制となりますので、電子帳簿保存のハードルが少し引き下げられる形となります。
電子帳簿保存法では、以下の3つの保存方法が認められています。
それぞれ具体的に見ていきましょう。
パソコンなどを用いて作成し、そのままハードディスクやDVDなどのメディアや、クラウドサーバー上などに保存する形式の保存方法です。
総勘定元帳や現金出納帳などの帳簿関連書類、賃借対照表や損益計算書などの決算関連書類、契約書や請求書などの取引関連書類が、こちらの保存方法の対象となります。
紙で作成・受領した書類を、スキャナーで電子データに変換のうえ、保存する形式の保存方法です。
スキャナーでの保存時には、
などが条件とされていましたが、年を経るにつれ、これらの条件も撤廃や緩和が進められています。
スキャナー保存の対象となる文書は、契約書や見積書などの取引関連書類のみとなりますのでご注意ください。
電子メールなどで受領したデータを、そのままハードディスクやクラウドサーバー上などに電子データとして保存する形式の保存方法です。
ただし、データの書き換え防止などのために、
のいずれかの要件を満たしている必要があります。
青色申告特別控除を満額受給するために、しっかり押さえておきたい「電子帳簿保存法」。
e-Taxで確定申告を行える方には不要かもしれませんが、毎年税務署で確定申告を行っている方には決して欠かせないものです。
先述したとおり、電子帳簿保存法は、時代などを鑑みて定期的に改正されています。
要件の撤廃や緩和で対応ハードルが下がる可能性もあるため、こまめに最新情報をチェックすることをおすすめします。